公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.091:類似事例:ランニングマシンによる上肢熱傷 (No.91 ランニングマシンに巻き込まれて受傷した前腕擦過傷の類似事例 1)

タイトルランニングマシンによる上肢熱傷
(No.91 ランニングマシンに巻き込まれて受傷した前腕擦過傷の類似事例 1)
事例年齢:4 歳 10 か月 性別:男児 体重:15.8kg 身長:104.7cm
傷害の種類熱傷
原因対象物家庭用ランニングマシン(図 1. 受傷日から約 1 か月前に購入し、主に
父や兄(7 歳)が使用していた。本体重量 44kg)
臨床診断名上肢Ⅲ度熱傷+深達度Ⅱ度熱傷
医療費2,036,690 円
発生状況
_発生場所
自宅の 2 階の居間
発生状況
_周囲の人・状況
兄が午後 1 時ごろから自宅 2 階の居間でランニングマシンを使用して
いた。本児が午後 1 時 15 分ごろまで 1 階にいたのは母が確認している
が、受傷時には兄と同じ居間にいた。受傷時、母は 1 階のリビングにい
た。
発生状況
_発生時刻
2019 年 9 月 X 日(土)午後 1 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
上記時刻、1 階にいた母が、ランニングマシンが普段と異なる音を発し
ているのに気づいた。その音が鳴り続けていたため、母は 2 階に上がり、
現場に到着したのは音に気づいてから約 3 分後であった。ランニングマ
シンは動いている状態で、兄がランニングマシンを持ち上げて、本児の
挟まれている右手を外そうとしていた。ランニングマシンの速度は 7 歳
児の歩行程度のスピードであった。母がランニングマシンを停止させ
て、ゆっくりと患児の手を引き抜いた。
本児曰く、ランニングマシンに乗ろうとしたとのことであった。おそら
く、後方からランニングマシンに乗ろうとした際に、右手がベルトコン
ベアの下に引き込まれる形で挟まれてしまったと推測された。
右上腕から前腕にかけて皮膚が剥けており、救急要請の上で医療機関に
搬送された。
治療経過と予後医療機関受診時、右上腕中央部から前腕遠位部にかけて肘関節屈側を含
む 6%のⅡ度熱傷を認め、一部白色変化を呈しⅢ度熱傷が疑われた(図
2)。明らかな骨傷やその他の外傷はなく、また摩擦熱傷部もデグロービ
ングの可能性は低いと判断した。同日より、白色ワセリン塗布および創
傷用吸収パッド被覆による湿潤療法を開始した。第 3 病日に発熱し疼痛
も強いため、熱傷創部感染が疑われ入院管理とした。第 4 病日、家族の
強い希望もあり退院し、その後は形成外科に相談の上で形成外科での外
来管理となり、連日開放性湿潤療法を継続した。第 13 病日にⅢ度熱傷
および深達性Ⅱ度熱傷部位に対して、全身麻酔下で腹部からの全層植皮
術を行なった(図 3)。第 21 病日に初回の包交を実施し、皮膚の生着は
良好であったため、第 22 病日に退院した。第 29 病日に全身麻酔下で抜
糸を行い、創部感染や皮膚の拘縮なく経過した(図 4)。術後 2 ヶ月の時
点で縫合部に部分的な発赤や硬結を認めたが、その後は軽快した。術後
半年の時点で、外来経過観察となっている。
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