公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.080:類似事例:物干し支柱の V 字型フックによる口角裂創(No.80 金属製のフックによる眼瞼裂創の類似 事例 2)

タイトル物干し支柱の V 字型フックによる口角裂創(No.80 金属製のフックによる眼瞼裂創の類似
事例 2)
事例_基本情報年齢:7 歳 7 か月 性別:男児 体重:25kg 身長:125cm
事例_家族構成母、父(37 歳)、妹(4 歳)、本児
事例_発達・既往歴特記すべき事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
金属製物干し支柱(図 1)
(製品名、型番号、製造年、製造業者は不明)
原因対象物
_入手経路 使用状況
中古品、入手時期(受傷の約 3 年前)、経路(一戸建て住宅の前
居住者が使っていたものを受け継いだ)、使用頻度(春〜秋の晴
天時に屋外で使用)
臨床診断名右口角裂創
医療費外来 10,635 円
発生状況
_発生場所
普段居住していない家屋の庭、積雪 70cm
(数日前からの大雪を受け、保護者が所有する土地・家屋の雪か
き・屋根の雪下ろしのために同地を訪れた)
発生状況
_周囲の人・状況
庭には、父と妹がいた。本児はフード付きの上下スキーウェア
で、長靴を履いていた。父は本児から数メートル離れた場所で本
児の方を向きながら雪かきをしており、本児が雪上で滑って転ん
だ瞬間を目撃していた。妹は本児から数メートル離れた場所にお
り、小さなスコップで雪を掘ったり駆け回ったりして本児と遊ん
でいた。母は家屋内で食事準備中であり、受傷の瞬間を目撃して
いない。
発生状況
_発生時刻
2021 年 1 月 X 日 (土) 午前 11 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
上記時刻に、本児は、積雪 70cm の庭で駆け回るなどして遊んで
いたところ、雪に足をとられ転倒し、物干し支柱の V 字型フック
の一端(図 1)が右口角に引っかかって受傷した。本児は雪面に
倒れ込んだ後に泣きながら自力で立ち上がり、流血する右口角を
手で覆いながら父に助けを求めた。物干し支柱・V 字型フックは
横倒しになったり損傷したりすることはなかった。父がティッシ
ュで本児の創部を圧迫しながら、受傷 1 時間後に医療機関を受診
した。
治療経過と予後医療機関受診時、患部の圧迫を解除すると血液が滲み出る程度
で、止血していた。右口角の創部は、口腔粘膜側から上口唇白色
部にかけて、直径 1.5cm の正円形の裂創で、局所麻酔下に 10 針
縫合した。咽頭にも 1cm 大弱の粘膜びらんがあり、軽度出血を認
めていたが保存的加療で処置を要しなかった。歯牙や歯肉粘膜の
損傷はなかった。その後、患部に局所感染や縫合離開の合併症を
認めなかった。X+14 日に抜糸、1.5 か月後に再診し通院を終了し
た。患部には軽度瘢痕が残存したが、機能的な障害は認めなかっ
た。
キーワード物干し支柱、フック、口角裂創