公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.072:類似事例:補助輪が装着された自転車運転中の転倒、側溝への転落による頭蓋骨骨折(No.72 グラウン ドで発生した腹部外傷の類似事例 1)

タイトル補助輪が装着された自転車運転中の転倒、側溝への転落による頭蓋骨骨折(No.72 グラウン
ドで発生した腹部外傷の類似事例 1)
事例_基本情報年齢:4 歳 2 か月 性別:男児 体重:15kg 身長:98cm
事例_家族構成父、母、妹、本児
事例_発達・既往歴特記事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
補助輪が装着された新品の自転車
原因対象物
_入手経路 使用状況
受傷 2 か月前に自宅付近の量販店で店員と相談し、児の身長にあ
った補助輪を装着できる新品自転車(16 インチ)を購入した。補
助輪はまっすぐ立った状態で両側の補助輪が地面から 1-2cm 程
(傾くと 4 ㎝程)浮く状態であった(図 1)。
臨床診断名右前頭骨骨折(右眼窩上壁~前頭蓋底骨折)
医療費入院 244,790 円 外来 1,620 円
発生状況
_発生場所
自宅付近の坂道(図 2)
発生状況
_周囲の人・状況
母が坂の下で受傷の瞬間を目撃していた。
歩道が確保されていない公道であった。
発生状況
_発生時刻
2022 年 2 月 26 日 (土) 午後 1 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
自宅付近の緩やかな坂道を母の後ろを追いかける形で、自転車を
漕いで下っていた。普段はヘルメットを装着していたが、受傷当
日は装着していなかった。補助輪付きの自転車であったが、坂道
を曲がる際に自転車の重心が右方に傾き、そのまま転倒した。そ
の際に深さ 1m ほどの無蓋の側溝に転落した(図 2 の矢印部
分)。母が見に行ったところ、児は仰臥位で啼泣していた。意識
障害はみられなかったが、医療機関へ向かう途中の自動車内で嘔
吐を認め、救急要請した。近隣の医療機関での受け入れが困難で
あるためドクターヘリで高次医療機関へ搬送された。
治療経過と予後到着時は、意識清明でバイタルサインの異常は認めなかった。気
道、呼吸、循環には問題なく、FAST(focused assessment with
sonography for trauma)も陰性であった。右前額部・上眼瞼が著
明に腫脹し、皮下出血を認めた(図 3)。眼球運動障害、複視、眼
痛は認めなかったが、嘔吐や倦怠感が持続した。頭部・顔面 CT 検
査(図 4)では、頭蓋内出血は認めなかったが、右眼窩上壁から前
頭蓋底にかけて線状の前頭骨骨折を認め、同日入院した。入院後、
徐々に倦怠感や嘔吐は改善し、経口摂取が可能となった。眼科・脳
神経外科の診察で専門的治療が不要であることを確認し入院4日
目に退院した。骨折に関しては、今後脳神経外科による外来管理
予定である。
キーワード補助輪、自転車、側溝 、頭蓋骨骨折