公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.071:類似事例:前向き抱っこ+自転車転倒で受傷した乳児の重症頭部外傷(No.71 自転車運転中の保護者に 背負われた状態から転倒時に放出された乳児の重症頭部外傷の類似事例 1)

タイトル前向き抱っこ+自転車転倒で受傷した乳児の重症頭部外傷(No.71 自転車運転中の保護者に
背負われた状態から転倒時に放出された乳児の重症頭部外傷の類似事例 1)
事例_基本情報年齢:1 歳 2 か月 性別:女児 体重:9.4kg 身長:80.0cm
事例_家族構成父、母、本児
事例_発達・既往歴特記事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
ロードバイク、抱っこ紐
原因対象物
_入手経路 使用状況
入手経路は聴取できず不明。主に父が自転車を使用する際に週1
程度で使用していた。前向き抱っこ+自転車乗車が道路交通法で
認められていないことについての認識はなかった。また、本児用
のヘルメットは持っていなかった。
臨床診断名左脳挫傷、左側頭・頭頂骨骨折、急性硬膜下血腫
医療費入院 2,928,900 円 外来 83,090 円
発生状況
_発生場所
路上
発生状況
_周囲の人・状況
父が本児を抱っこ紐で抱えながらロードバイクで走行していた
発生状況
_発生時刻
2022 年 10 月 X 日 (月) 午前 9 時 12 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
父親が抱っこ紐で本児を前面に抱えロードバイクを運転してい
た。舗装道路を時速 20km 程で走行中、ロードバイクの前カゴに
入っていたかばん(A4 サイズ布製)の肩下げ紐が前輪に絡ま
り、ロードバイクごと前方へ一回転して転倒した。ヘルメットの
装着はなかった。父親は顔面から着地し、本児は父親と地面の間
に挟まれる形で受傷した。ロードバイクの大きな破損はなかっ
た。すぐに通行人が救急要請し、医療機関へ搬送された。
治療経過と予後医療機関到着時、Glasgow coma scale は E2V3M4。左前頭部から
頭頂部の擦過傷と、左耳孔からの髄液漏を認めた。意識状態は経
時的に悪化し、左瞳孔は散大し対光反射は消失した。気管挿管下
に撮影した頭部造影 CT で左側頭・頭頂骨骨折、左脳挫傷、左硬膜
下血腫を認めた(図 1)。手術室で ICP センサーを挿入し、集中治
療室に入室した。X+3 日の頭部 CT で脳浮腫の増強なく ICP セン
サーを抜去した。X+5 日に抜管。X+8 日に施行した頭部 MRI 検査
では血種の増大なく、骨折部直下の脳挫傷以外に異常所見を認め
なかった。徐々に活気良好となり、X+9 日に一般病棟に転棟、X+17
日に退院した。受傷3か月後の外来フォローでは頭部 MRI で脳挫
傷部位の瘢痕化を認めたが、明らかな後遺症や成長発達遅滞なく
経過している。
キーワード抱っこ紐、ロードバイク、転倒、重症頭部外傷