No.066:類似事例:強力磁性玩具の誤飲による消化管異物 (No.66 磁石と鉄球の誤飲による小腸穿孔の類似事例 3)
| タイトル | 強力磁性玩具の誤飲による消化管異物 (No.66 磁石と鉄球の誤飲による小腸穿孔の類似事例 3) |
| 事例 | 年齢:4 歳 6 か月 性別:男児 体重:29 kg 身長:不明 |
| 傷害の種類 | 誤飲 |
| 原因対象物 | 粒状の強力磁性玩具(直径 5mm 大マグネットボール)、計 36 個 |
| 臨床診断名 | 異物誤飲/胃穿孔/胃潰瘍 |
| 医療費 | 986,380(B 病院 64,480, C 病院 921,900)円 |
| 発生状況 _発生場所 | 自宅 |
| 発生状況 _周囲の人・状況 | 患児はリビングで一人で遊んでいた。父は同じリビングルームでスマート フォンを見ていた.母は台所で洗い物をしていた。同胞はいない。 |
| 発生状況 _発生時刻 | 2019 年 1 月X日(火) 午後 7 時 00 分 |
| 発生状況 _発生時の詳しい様子と経緯 | 通信販売サイトからインターネットにより原因となった磁性玩具(マグネ ットボール)を購入していた。 上記時刻、夕食後に児はリビングルームで磁性玩具を用いて遊んでいた。 寝そべって磁性玩具を口に入れているところを、同室にいた父が気付いた ため、催吐させ、医療機関(A 病院)を受診した。腹部単純 X 線写真で、数 珠状に連なり一部ループを形成する X 線非透過性の胃内異物を認めた。 腹腔内に free air、腸管ガスの異常な拡張像は認めなかった。家人が残り の磁性玩具を持参し、午後 9 時すぎに高次医療機関(B 病院)へ紹介受診さ れた。本人は、飲食物ではなく、玩具であることの認識はあったとのこと だが、誤飲の理由について尋ねるも、笑っていて答えなかった。独歩で診 察室に入室し、腹痛や腹部膨満は認めず、腹部は軟、圧痛や筋性防御も認 められず、バイタルサインも安定しており全身状態は良好であった。 |
| 治療経過と予後 | 腹部単純 X 線写真の所見は、前医と同様で、異物の位置には変化がなく、 胃内に36個が数珠状に連なり一部ループを形成する状態で存在していた (図 1)。腹腔内に free air、腸管ガスの異常な拡張像は認めなかった。鎮 静薬投与下に内視鏡室において、消化器内科医が上部消化管内視鏡を用 いて摘出を試みた。胃体下部後壁側に複数個の小さな磁石が一塊となっ て存在しているのが観察された(図 2)。個数が多く、形成する塊が大きい ため、ネットですべての磁石を一度に摘出することは不可能であった。一 部の磁石を把持して摘出を試みるも、他の磁石が不安定な状態で追随し、 摘出時の誤嚥のリスクが高いと判断された。また、胃体下部後壁の磁石 は、可動性が乏しく、胃体下部小彎後壁および前庭部小彎後壁にめりこん でおり、ループを形成しているように観察された(図 3,4)。磁石による穿 通や穿孔が疑われたため、内視鏡検査を終了した。その後の腹部 CT 撮影 では、磁石に起因する金属アーチファクトのため消化管の詳細な評価は 困難であったが、胃体後壁周囲に free air を疑う所見を認めた。外科治療 が望ましいと考えて、X+1 日未明に小児専門病院(C 病院)へ転院搬送し た。C 病院では、消化管穿孔と考えられるも上部消化管であること、全身 状態も良好であることから、日勤帯に準緊急手術の方針となった。日勤帯 に小児外科・小児科医による検討の結果、大きな消化管穿孔所見は無く、 状態も安定していたので、再度、内視鏡的摘出に方針が変更された。33 個 の磁石は胃体下部に胃壁に食い込む形で存在していた。3 個は待機中に結 腸に達していた。全身麻酔下にそれぞれ上部内視鏡によるネット、およ び、下部内視鏡による鉗子にて摘出した。胃穿孔に関しては、穿孔部が微 小であり保存的加療とした。1 週間の絶飲食、プロトンポンプ阻害薬の内 服ののち、上部消化管造影で造影剤の漏出がないことを確認して食事が 再開された。X+10 日目に退院した。 |
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