公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.064:類似事例:バスチェアによる女児の外陰部外傷(No.64 女児の会陰部外傷の類似事例 1)

タイトルバスチェアによる女児の外陰部外傷(No.64 女児の会陰部外傷の類似事例 1)
事例年齢:11 歳 2 か月 性別:女児 体重:37.1kg 身長:145.7cm
傷害の種類外陰部打撲
原因対象物バスチェア(図 1, 2)
臨床診断名外傷性外陰部血種
医療費606,780 円
発生状況
_発生場所
自宅の浴室
発生状況
_周囲の人・状況
姉(15 歳)と入浴中、洗い場で転倒
発生状況
_発生時刻
2019 年 10 月X日(水) 午後 8 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
姉と入浴中、姉が先に上がり脱衣所に出た。本児のみ浴室内の洗い場に
残り、備え付けの棚に乗っていたものをとろうとしたところ、足元が滑
り、プラスチック製のバスチェアの凸状の突起部(図 1, 2 の矢印部分)
の上に尻もちを着く形で転倒した。直後はあまり痛みが強くなかったた
め、ふつうに浴槽に浸かった。入浴後に陰部からの出血に気づき、ひと
りでトイレ内に籠っていた。出血が止まらないと泣いていたところを、
午後 9 時 30 分に仕事から帰宅した母が発見した。外陰部が大きく腫れあ
がり、出血が持続していたため、同日救急指定病院を受診したが、鎮痛
薬を処方され、経過観察となった。
翌 X+1 日には腫れが増強し、局所を冷やしながら、ほぼ臥床したままで
過ごした。X+2 日に近医小児科を受診し、加療目的に医療機関へ紹介と
なった。
治療経過と予後右大陰唇にテニスボール大の血腫を認めた(図3)。表皮の一部には、矢
状方向に約 1 ㎝裂創があったが自然止血していた。血腫による痛みで、
閉脚できず、独歩はできない状態であった。血圧などバイタルサインは
安定しており、血液検査でのヘモグロビンの低下もなかった。小児科に
入院し婦人科にコンサルトの上、局所冷却と抗菌薬入り軟膏の塗布に加
えて、止血剤および抗菌薬(CEZ)の静注を行い、保存的に加療を開始
した。
入院 5 日目(X+6 日)まで血腫の改善を認めなかったため、婦人科医師
により全身麻酔下に血腫除去術を行った。術前に造影 CT を撮影し、血腫
内への造影剤漏出がないことを確認した。血腫を覆う皮膚は一部壊死し
ており、用手圧迫で自壊した。自壊部から上下に切開延長し、凝血塊 80g
を除去した。動脈性の出血はなかった。電気メスで出血点を止血した。
ドレーンは留置せず、埋没縫合で閉創した。入院 7 日目(X+8 日、術後
2 日目)から歩行可能となった。
術後、月経が重なり、性器出血が続いたため、入院を継続した。(初経後
2 度目の月経で本人も母もあまり分かっていなかった。)入院 10 日目(X
+11 日、術後 5 日目)に軽快退院した。X+15 日、術後 9 日目に小児科
および婦人科の外来で診察し、経過が良好であることを確認の上終診と
なった。
キーワード