No.050:類似事例:保冷材の誤飲(No.50 新しいタイプの洗剤(1回分パックタイプ洗濯用液体洗剤)の誤飲による 中毒の類似事例3)
| タイトル | 保冷材の誤飲(No.50 新しいタイプの洗剤(1回分パックタイプ洗濯用液体洗剤)の誤飲による 中毒の類似事例3) |
| 事例 | 年齢:2 歳 3 か月 性別:女 体重:12kg 身長:89.5cm |
| 傷害の種類 | 誤飲 |
| 原因対象物 | ベビーキャリア・ベビーカー用保冷・保温シート サイズ:ジェルパック W8.5×H13.5cm(図1) |
| 臨床診断名 | 異物誤飲 |
| 医療費 | 74,890 円 |
| 発生状況 _発生場所 | 自宅のリビング |
| 発生状況 _周囲の人・状況 | リビングに患児と姉(4 歳)がいた。母は別室で家事をしていた。 保冷剤は台所の冷蔵庫の冷凍室(施錠、ロックなし、冷蔵庫の最下部に位置)に保管してい た。リビングと台所との間に仕切りはない。 |
| 発生状況 _発生時刻 | 2016 年 8 月 20 日 午前 9 時 00 分 |
| 発生状況 _発生時の詳しい様子と経緯 | 午前 8 時 30 分ころから自宅のリビングに本児と姉(4 歳)がいた。母は別室で家事を行っ ていた。姉はテレビを鑑賞しながら、児がテレビ台の引き出しの中のペン立てからはさみを 取り出して床に座り、何かをして遊んでいることは認識していた。しかし、テーブルに隠れ て実際に何をしているかは見えなかった。 9 時過ぎに姉が児を見たときに、保冷剤の袋をはさみで切り(図2)、内容物を口の周りと 右大腿部にぬっているところを発見し、母を呼んだ。発見時には、保冷剤の芯部はまだ凍っ た状態であった。母が内容物を拭き取り、近医へ連絡したところ、日本中毒情報センターへ 電話するように指示を受けた。その後日本中毒情報センターから病院受診をすすめられたた め、午前 11 時過ぎに自家用車で当院を受診した。 保冷剤がいつどのように持ち出されたかは不明であるが、夏季になり児が冷凍庫から氷を 自分で取り出し食べるのが慣習化していた。また、はさみを使って紙などを切る遊びは日常 的にしていた。 |
| 治療経過と予後 | 受診までの間に嘔吐や意識レベルの低下はなく、診察時にもバイタルサイン、呼吸・循環 動態の異常、腹部症状や神経症状も認めなかった。口腔内に異物の残存や粘膜障害はなく、 また着替えてから受診したため、皮膚や衣服にも残存する異物は認めなかった。 児がはさみで切った袋入りの保冷剤と非破損のものを持参しており、両者の重量を測定し たところ 13g の差があった。内容物は「高吸水性ポリマー」と商品には記載されており、担 当医が一般的に保冷剤に用いられる高吸水性ポリマーの成分を調べたところ、比較的毒性の 高いエチレングリコールが用いられている可能性が否定できない、との結論に至った。 保冷剤の付着した口周囲と大腿部を水道水で洗浄したのちに、観察病棟で経過観察を行っ た。約 4 時間の経過観察(誤飲後 6 時間経過)の後に、症状が出現しないことを確認し、帰 宅とした。以降の再受診はない。 本製品は、ベビーキャリア(だっこ紐)やベビーカーを使用する際にこどもの熱中症対策 として、通常の保冷剤と同様の成分の製品を専用のケースに入れ、それを児に密着させるも のである。保冷剤には、その主成分が低毒性のポリアクリル酸ナトリウムの製品と、中枢神 経障害、代謝性アシドーシス、腎障害などをきたす比較的毒性の高いエチレングリコールが 主成分の製品とがある。後日調べたところ、本製品は低毒性のものであったことが判明した。 |
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