公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.045:類似事例:魚骨による気管支異物(No.45 ベビーフード(大豆)の誤嚥による気道異物の類似事例 2)

タイトル魚骨による気管支異物(No.45 ベビーフード(大豆)の誤嚥による気道異物の類似事例 2)
事例年齢:1 歳 9 か月 性別:女児 体重:9.5kg 身長:75cm
傷害の種類誤嚥
原因対象物魚骨(アジの椎体 大きさ 0.5cm×0.5cm:図 4)
臨床診断名両側気管支異物
医療費3,093,740 円
発生状況
_発生場所
自宅の食卓
発生状況
_周囲の人・状況
両親と 3 人で夕食中であった
発生状況
_発生時刻
2018 年 8 月 X 日(日) 午後 8 時 00 分頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
外出先から帰宅し、3 人で夕食を食べていた。両親が食べ終えたアジフラ
イのしっぽに本児が手を伸ばしていたため制止していたが、両親が目を
離した際に突然の咳き込みを認めた。顔面が紅潮し児はチョークサイン
を示していたため、誤嚥したと考え父がすぐに口腔内を確認したが、異
物は認めなかった。その後嚥下し、症状は軽快したが、すぐに医療機関 A
を受診した
治療経過と予後受診時に口腔内に異物は認めず帰宅経過観察を指示された。X+1 日に
医療機関 B を受診し胸部 X 線検査を施行され、気管支炎と診断され対症
療法を継続した。帰宅後も咳・喘鳴の症状が遷延するため、X+1 日の夜
間に医療機関 B を受診し入院した。異物誤嚥の病歴はあったが喘息性気
管支炎の診断でβ2 刺激薬の吸入とステロイド点滴加療を開始され、症状
の増悪軽快を繰り返した。X+9 日に耳鼻科医による喉頭ファイバー検査
で声門部にアジの尻尾と思われる異物を認めた。鉗子にて摘出を試みら
れたが困難であり、異物は気管内に迷入した。気管支鏡にて摘出を試み
られたが困難であり、換気不全の状態に陥ったため 3 次医療機関に転院
となった。転院時の胸部 X 線写真で右肺の過膨張と左肺の無気肺を認め
た(図 1)。胸部 CT では右中間気管支管及び左主気管支に椎体と思われ
る異物を認め、右肺は過膨張となり、左肺野は浸潤影と無気肺像を呈し
ていた(図 2、図 3)。手術室にて硬性鏡(#3,18cm)を使用して左右の気
管支よりそれぞれ 5mm 大の魚骨(アジの椎体)を 1 個ずつ摘出した(図
4)。声門下の狭窄が強く長期の挿管管理を有したため、声門部の腫脹の
改善を確認して X+15 日に抜管し、X+24 日に自宅退院した。現在は特に
後遺症なく経過している。
臨床経過と画像所見から、前医の喉頭ファイバーの際に迷入した魚骨
は除去した異物の一部であった可能性が高く、左主気管支の魚骨は、誤
嚥した日に迷入し分泌物や粘膜浮腫の増悪により閉塞症状を来したと推
測された。
キーワード