公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.034:類似事例:歯ブラシによる口腔内外傷に関連する外傷性内頸動脈閉塞(No.34 歯ブラシによる口腔内 外傷の類似事例 10)

タイトル歯ブラシによる口腔内外傷に関連する外傷性内頸動脈閉塞(No.34 歯ブラシによる口腔内
外傷の類似事例 10)
事例_基本情報年齢:2 歳 1 か月 性別:女児 体重:12kg 身長:85cm
事例_家族構成父、母、双子の姉、本児
事例_発達・既往歴健診で言葉の遅れを指摘されている(1 歳相当)
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
歯ブラシ
原因対象物
_入手経路 使用状況
薬局で購入。毎日寝る前に本児が歯磨きをし、その後に仕上げ磨
きを両親がしていた。洗面台のコップの上にさして管理されてい
た。
臨床診断名外傷性内頸動脈閉塞、脳梗塞
医療費入院 3,986,720 円 外来 28,900 円
発生状況
_発生場所
自宅のリビング
発生状況
_周囲の人・状況
父、母、双子の姉。本児以外は全員台所にいた。
発生状況
_発生時刻
2022 年 2 月 X 日 (木) 午後 8 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
上記時刻に、本児は一人で、歯ブラシを咥えながら三輪車に乗っ
ていた。本児の泣き声に気づき、両親が駆けつけたところ、本児
と三輪車が倒れており、本児のそばに歯ブラシが落ちていた。本
児の口腔内から出血はなかったが、状況から、両親は本児の喉に
歯ブラシが刺さったことを疑い、すぐに医療機関を受診した。三
輪車も歯ブラシも破損はなかった。自宅で歯ブラシを咥えて三輪
車に乗っていたところ転倒したと考えられた。
治療経過と予後X 日、医療機関受診時、体温 36.7℃、心拍数 125 回/分、呼吸数
22 回/分、SpO2:97%(室内気)、口蓋垂右側の軟口蓋に出血斑を
認めたが、明らかに外傷を疑う所見がないことから抗菌薬を処方
されて帰宅となった。また、神経学的所見に異常はなかった。
その後、X+2 日までは嚥下障害や上気道閉塞を疑う所見なく経過
し、X+3 日の午前 3 時に夜泣きで起床時には、自力歩行後にジュ
ースを飲んで就寝していた。
X+3 日午前 10 時頃、自力で立ち上がることができないため、医
療機関に救急搬送された。意識は清明であったが、左上下肢の片
麻痺があり、MMT は 1 であった。同日実施した頭頸部造影 CT で
右内頸動脈が描出されず、右中大脳動脈領域の梗塞を認めた(図
1)。X+4 日に実施した頭部 MRI/MRA では 、CT と同様の所見と
咽頭軟部組織腫脹を認めた(図 2)。背景疾患の検索として、凝固系
の血液検査を実施したが、異常を認めなかった。
治療については、脳外科医と相談し、輸液とエダラボン(10 日間)
のみで管理し、リハビリ介入も行った。左上下肢の麻痺は消失す
るまで回復し、自力歩行、ジャンプができ、やや左上下肢に痙性が
軽度残ったが、日常生活を送る上で問題ない程度まで機能回復し
た。抗血小板薬は使用しなかった。X+72 日目に退院となった。そ
の後、現在外来通院中である。
キーワード歯ブラシ外傷、脳梗塞 、内頸動脈閉塞