公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.034:類似事例:乳児用歯ブラシによる下咽頭杙創(No.34 歯ブラシによる口腔内外傷の類似事例 8)

タイトル乳児用歯ブラシによる下咽頭杙創(No.34 歯ブラシによる口腔内外傷の類似事例 8)
事例_基本情報年齢:0 歳 10 か月 性別:男児 体重:8.5kg 身長:71cm
事例_家族構成父、母、本児
事例_発達・既往歴特記事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
乳児用歯ブラシ(図 1,2)
歯が生え始める生後 6 か月頃からの乳幼児を対象とした商品
原因対象物
_入手経路 使用状況
家庭で購入し、毎日使用していた。
(正確な使用開始時期は不明)
臨床診断名下咽頭杙創
医療費入院 657,850 円 外来 10,800 円
発生状況
_発生場所
自宅のリビング
発生状況
_周囲の人・状況
両親はテーブルをはさんで向かい合って座り、母の右隣に置いた
チャイルドチェア(高さ約 1m)に本児が座っていた。
発生状況
_発生時刻
2022 年 1 月 X 日 (日) 午後 8 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
乳児用歯ブラシを本児に持たせ、歯磨きの練習をさせていた(1
日1回行っていた)。会話をしていた両親がふと気づくと、本児
がチャイルドチェアの肘置きから身を乗り出していた。両親がと
っさに支えようとしたが間に合わず、本児が歯ブラシを口にくわ
えたまま、顔から床に転落した。歯ブラシは柄の部分で完全に断
裂し、先端のブラシ部分(シリコン製)が口腔内に刺さった状態
となった。父が刺さったブラシ部分を抜去した。この際、口腔内
のどのあたりにどの程度の深さで刺さっていたのか、詳しい状態
は覚えていない。その後、本児の口腔内から出血がみられた。母
が救急要請した。
治療経過と予後医療機関へ救急搬送された際には、自然気道にて呼吸障害は認め
ず、末梢循環不全を示唆する所見もなかった。口腔内から持続す
る出血を認めたが、出血部位の特定は困難であった。造影 CT 検
査の結果、左咽頭後壁に軟部組織の腫脹を認めた(図 3)。小児病
棟へ入院したが、入眠前(受傷後 4-5 時間)頃から嗄声と SpO2 低
下(室内気で 90%前半)を認めたため、PICU へ入室した。経静
脈的鎮静下に絶飲食管理とし、ステロイド静注、アドレナリン吸
入、抗菌薬投与を行った。X+1 日に 38 度の発熱を認めたが、上
気道狭窄症状は軽快したため、同日中に鎮静を終了し一般病棟に
転棟した。X+2 日、耳鼻咽喉科医師による喉頭ファイバースコピ
ーにて、左披裂部に粘膜下血種および喉頭蓋谷左側にフィブリン
様白苔の付着を伴う粘膜腫脹を認めた(図 4)。X+3 日にステロイ
ド静注を終了、X+4 日の喉頭ファイバースコピーで粘膜腫脹の軽
減を確認し、経口摂取を再開した。計 14 日間の抗菌薬投与となる
よう経口抗菌薬を処方し、X+8 日に退院した。退院時に、家庭内
重大事故として再発防止に対する注意喚起を行った。退院から 10
日後、耳鼻咽喉科医師による喉頭ファイバースコピーにて異常所
見消失を確認し、終診となった。
キーワード歯ブラシ 、転落、口腔内外傷