公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.034:類似事例:歯ブラシによる食道穿孔(No.34 歯ブラシによる口腔内外傷の類似事例1)

タイトル歯ブラシによる食道穿孔(No.34 歯ブラシによる口腔内外傷の類似事例1)
事例年齢:1 歳 11 か月 性別:男 体重:11.7 kg 身長:88 cm
傷害の種類転倒,刺傷
原因対象物子ども用歯ブラシ(図1)(長さは 15.5 cm)
臨床診断名食道穿孔,縦隔炎,縦隔気腫,皮下気腫
医療費4,075,660 円(2015 年 6 月 4 日までの医療費)
発生状況
_発生場所
発生状況
_周囲の人・状況
発生状況
_発生時刻
2015 年 4 月 22 日 午後 8 時 30 分頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
上記の時刻ころ,自宅 1 階の寝室に本患児,母,兄(4 歳)の 3 人がいた。父と弟(4
か月)の 2 人は 2 階のリビングで食事をしていた。本患児は, 寝室近くの洗面台に歯
ブラシを取りに行き,口にくわえたまま走って寝室に戻ってきたところ,布団の上で
転倒した。歯ブラシは布団の上に転がっており,歯ブラシの先には少量の出血痕がみ
られた。転倒直後は声が出ず,2−3 分経過後に,普段とは違う, 唸るような泣き方で啼
泣した。その後も不機嫌が続いたため,午後 11 時頃に両親に連れられて当院救急外来
を受診した。
受診時,右扁桃の出血,左頸部腫脹,軽度の呼吸困難を認めた。家族の意向もあり,
その日は検査をせずに帰宅した。受傷の翌日の朝,呼吸困難が増悪し,近医小児科を
受診した。縦隔気腫を疑われ,午前 10 時頃に救急車で当科に紹介受診となった。
治療経過と予後受診時,意識レベルは JCS 20,体温:37.7℃,呼吸数:50/分,血圧:118/72mmHg,
脈拍:195/分,SpO2:96%(酸素マスク 6l/分下),左頚部から左前胸部を中心に皮下
気腫が認められた。胸部単純 CT 写真で広範な縦隔気腫を認め(図 2),血液検査で WBC
13390/μl,CRP 5.42mg/dl,PCT(プロカルシトニン) 71.03ng/ml,血液培養で PSSP
(ペニシリン感受性肺炎球菌)陽性であった。
当院 ICU に収容し,絶飲食の上,酸素投与,輸液,CTRX(セフトリアキソン)+CLDM
(クリンダマイシン)の静注と免疫グロブリンの投与を開始し,DIC も合併したため
rTM(トロンボモジュリン)製剤,AT(アンチトロンビン)製剤,FFP(新鮮凍結血漿
製剤)の投与も併用した。入院 3 日目に呼吸状態が増悪したため気管挿管を施行し,
左胸水貯留に対しては左胸腔ドレナージを施行し,MEPM(メロペネム)の追加投与を
開始した。入院 10 日目に Septic shock となり,VCM(バンコマイシン)を追加投与し,
中心静脈ラインからカテコラミン投与も併用した。その後も,アルブミン製剤の補充,
凝固因子製剤の補充,RCC—LR(赤血球濃厚液)輸血等を順次施行した。入院 15 日目の
食道造影(図3)で,上部食道から左胸腔内へ通じる瘻孔が造影され,同日, 上部消
化管内視鏡検査で食道穿孔(図4)と診断した。入院 16 日目に,食道瘻孔閉鎖術を施
行した。同日,胸腔ドレーンから Candida albicans 等の真菌が分離され,同日から
MCFG(ミカファンギン)投与を開始した。入院 29 日目に抜管し,IVH から徐々に経腸
栄養に移行した。その後も発熱を繰り返し,治療に難渋した。
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