公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.028:類似事例:電気調乳ポットによる前胸部熱傷(No.28 電気ケトルによる顔面・胸部・上肢熱傷の類似事例4)

タイトル電気調乳ポットによる前胸部熱傷(No.28 電気ケトルによる顔面・胸部・上肢熱傷の類似事例4)
事例年齢:10 か月 性別:男 体重:9.3kg 身長:73cm
傷害の種類熱傷
原因対象物電気調乳ポット (規格:W195×D175×H195mm)
臨床診断名右前胸部 第 2 度熱傷
医療費総額 156,370 円
発生状況
_発生場所
発生状況
_周囲の人・状況
発生状況
_発生時刻
2015 年 1 月 26 日 午後 5 時 00 分頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
発生当時、自宅にいたのは児と母親のみであった。母親が台所で炊事中、背後
で物音がして、直後から児の泣き声が聞こえた。母は児の着衣の前胸部が濡れて
いることに気付き、服を脱がして右前胸部の熱傷を確認した。すぐに濡らしたタ
オルで患部を冷やしながら、タクシーで救急外来を受診した。
児は最近つかまり立ちが盛んであったが、家庭内でベビーゲート設置等の対策
はしていなかった。調乳ポットは普段からキッチン内の高さ約 50cm のダイニン
グボード上にコンセントをつないだ状態で置いて使用しており、熱湯の温度は
70℃に設定していた。コンセントケーブルに繋がる台座に本体を乗せるように接
続するタイプ(図1)で、給湯ロック機能はついていない。ポットがダイニング
ボード上で倒れたのか、床に落下したのか、蓋は開いたか、湯がどの程度こぼれ
たか等については、母は動転していたためか正確に記憶していないという。
治療経過と予後受傷範囲は右前胸部のおよそ 1~2%。破れた水疱と淡赤色の水疱底を含む発赤
部位を確認し、熱傷深度は第 2 度と判断した(図 1)。生食で洗浄の後、軟膏を塗
布してガーゼで被覆した。3 日間の入院を経て退院し、受傷後 1 週間の時点で皮
膚科外来にて創部のフォローを行い、経過良好のため終診となった。
尚、今回の受傷の前月に自宅でベッドから転落して頭部を打撲して脳神経外科
を受診した経緯があり、母親の育児不安も強い印象であったため、受傷当日より
入院管理とした。その後地域のこども家庭支援センターとも情報を共有し討議を
重ねたが、現時点では虐待の可能性は低いと判断された。退院後は母親の希望を
受けて地域のこども家庭支援センターに繋げることとした。
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