公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.023:類似事例:クリスマスオーナメント金具の誤飲による頸部食道潰瘍 (No.23 イヤホンのパーツの誤飲による食道異物の類似事例 6)

タイトルクリスマスオーナメント金具の誤飲による頸部食道潰瘍
(No.23 イヤホンのパーツの誤飲による食道異物の類似事例 6)
事例年齢:0 歳 10 か月 性別:男児 体重:9.5kg 身長:77.0cm
傷害の種類誤飲
原因対象物クリスマスオーナメントの金具(図 1)
臨床診断名頸部食道潰瘍
医療費入院費 845,410 円、外来費 18,730 円
発生状況
_発生場所
自宅の寝室
発生状況
_周囲の人・状況
クリスマスツリー本体は片付けられていたが、片付け時に本児が今回の
原因対象物であるオーナメントを気に入ったため、おもちゃとして遊ば
せていた。母は掃除中で児から目を離しており、その他の家族は自宅に
いなかった。
発生状況
_発生時刻
2018 年 2 月 X 日(日) 時刻不明
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
定型発達の児。2018 年 2 月 X-3 日から発熱と気道症状があり、X-2 日
に医療機関 A を受診した。迅速検査でインフルエンザ B が陽性であり、
抗ウイルス薬の内服が開始された。X 日、母が布団を掃除している時に
突然泣き出したが、機嫌はすぐに直った。この時点で、母はクリスマス
オーナメントボールの金具がなくなったことに気づいていた(同日に誤
飲した可能性があるが、確定的ではない)。その後も発熱が続き、嘔吐や
流延はないものの喘鳴が出現した。経口摂取が困難となったため、X+2
日に医療機関 A を再診した。胸部 X 線写真(図 2)・頸部単純 CT 検査
(図 3)で、頸部に V 字の針金状の部品を認め、異物誤飲の診断で医療
機関 B を紹介された。
治療経過と予後医療機関 B に到着後、耳鼻咽喉科医師により喉頭ファイバースコピー下
での異物除去を試みたが、V 字状の針金先端部が粘膜に食い込んでいた
ため牽引不可能であった。安静目的に、鎮静下に気管挿管、人工呼吸管
理とした。喉頭展開時、異物は確認できなかった。入院 2 日目、全身麻
酔下に消化器内科医師により上部消化管内視鏡を用いて摘出した(図
4)。
食道粘膜に対し、金具の先端が頭側を向いて嵌入しており、針金先端部
が停滞していた部位に頸部食道潰瘍を認めた。異物をそのまま頭側に牽
引すると頸部血管を含めた内臓を損傷する恐れがあった。内視鏡的に金
具を曲げたり、切断したりすることは不可能だった。そのため、食道裂
傷のリスクを抱えながら、異物をいったん胃内まで落とし、反転させて
食道内を逆行させた。緊急手術の可能性があったため小児外科、耳鼻咽
喉科、消化器外科の各医師が手術室で待機した状態で処置が行われた。
術後は誤嚥性肺炎を合併し、抗菌薬による治療を要した。その後の経過
は順調で、入院 4 日目に抜管、抜管後は喘鳴なく、酸素投与も必要なか
った。入院 10 日目の内視鏡検査で潰瘍部の改善を認めた。瘢痕狭窄を
残すことなく、入院 12 日目に退院した。
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