公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.023:類似事例:画鋲による食道異物 (No.23 イヤホンのパーツの誤飲による食道異物の類似事例2)

タイトル画鋲による食道異物
(No.23 イヤホンのパーツの誤飲による食道異物の類似事例2)
事例年齢:0 歳 7 か月 性別:男 体重: 9kg 身長: 60cm
傷害の種類誤飲
原因対象物画鋲(ごく一般的な金属製の画鋲)
臨床診断名異物誤飲、食道異物、喉頭狭窄
医療費869,420 円(入院費)
発生状況
_発生場所
自宅リビング
畳留め用の長鋲ではなく、一般的な画鋲でござを留めていた。
発生状況
_周囲の人・状況
誤飲時の目撃はない。診断後に、発生場所のござを画鋲で留めておいた
ものが外れていたのを母親が思い出した。
発生状況
_発生時刻
2012 年 7 月 29 日頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
7 月 29 日に 37-38℃の発熱があり、喘鳴、哺乳不良が出現した。咳はなかった。7
月 30 日に近医を受診し、鎮咳薬・去痰薬が処方された。8 月 1 日に当院急病センタ
ーを受診し、喘鳴を認めたために気管支拡張薬を吸入したが改善はなく、小児科医
にコールがあった。吸気性喘鳴が著明で、陥没呼吸があり、喉頭・胸部 X 線単純写
真(図 1)で食道(喉頭蓋下方 15mm、気管後方 5mm)に鋭利端が前方を向いた画
鋲を認めた。血液検査では CRP 4.94mg/dl, WBC 10,800 であり、異物による感染
や膿瘍の形成も疑われ、全身麻酔下で緊急異物摘出術を施行するため 8 月 2 日に入
院となった。
治療経過と予後異物誤飲と診断した後、すぐに耳鼻科・消化器内科・麻酔科と連携し、全身麻酔下
に異物摘出術を施行した。喉頭展開で食道入口部に金属片を確認し、鉗子で異物(画
鋲)を摘出した(写真1)。食道前壁の粘膜の腫脹が著明で、画鋲は鋭利端が前方を
向きほぼ埋没していた。喉頭後壁も、食道前壁の浮腫、あるいは膿瘍により圧排さ
れ喉頭の狭窄があると判断した。異物除去後も気管挿管による人工呼吸管理を継続
し、抗菌薬とステロイド薬を投与した。8月3日には、喉頭ファイバーにて上咽頭の
軽度の浮腫を認めたが、下咽頭には浮腫を認めず抜管した。嗄声、吸気時に喘鳴を
認めたが酸素投与で呼吸状態は安定していた。8月4日には、呼吸状態は安定してお
り酸素投与を中止し、ステロイド薬は減量した。哺乳の再開後にSpO2の低下がみら
れたが、吸引にて酸素化は改善した。8月5日には吸気性喘鳴は改善傾向となり、ス
テロイド薬を中止した。8月6日に退院し、その後は発達も正常に経過している。
キーワード