公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.013:類似事例:リチウムコイン電池による食道粘膜損傷 (No.13 リチウム電池の誤飲による食道粘膜損傷の類似事例 3)

タイトルリチウムコイン電池による食道粘膜損傷
(No.13 リチウム電池の誤飲による食道粘膜損傷の類似事例 3)
事例年齢:1 歳 4 か月 性別:女児 体重:10.4 kg
傷害の種類誤飲
原因対象物リチウムコイン電池(ランタン型キーホルダーライトの電池。電池が入
っている部分の蓋は回転開閉式。ネジでの固定はない(図 3))
臨床診断名食道粘膜損傷
医療費282,300 円
発生状況
_発生場所
発生状況
_周囲の人・状況
発生状況
_発生時刻
2018 年 10 月 X 日(木) 午後 1 時 40 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
自宅には母と本児がいて,母はリビングに,本児は襖一枚隔てた隣の部
屋に置かれた小児用のケージの中にいた.ケージから児の手の届く距離
の床にリュックが置かれており、その正面ポケット内にランタン型キー
ホルダーライトが入っていた.リュックのポケットのジッパーは閉じら
れていたが,別のキーホルダーがジッパーに付いていて,掴んで開けや
すくなっていた.
上記時刻に本児が急に泣き出したため母が見に行くと,ランタン型キー
ホルダーライトの電池の蓋が開いており,2 個あったはずのリチウムコイ
ン電池(CR2032)が 1 個しかなかった.児はケージ内で流涎しながら啼
泣しており,間欠的にえずいていた.母が誤飲を疑い救急要請し,本児
は医療機関に搬送された.
治療経過と予後医療機関受診時のバイタルサインは体温 36.6℃,脈拍数 130 回/分,呼吸
数 28 回/分,SpO2 100%(室内気)であった.流涎はなく、えずく様子もな
かった。吸気性喘鳴や末梢循環不良も認めなかった.胸腹部 X 線写真(図
1)でリチウムコイン電池が胃内にあることを確認し,誤飲から約 3 時間
半後に全身麻酔下で上部消化管内視鏡を施行した.食道入口部・噴門直
上の粘膜に,線状の黒色変化があったが,損傷は軽度で粘膜表層の糜爛
のみであった(図 2).胃内底部に,食物残渣に包まれ腐蝕が進んだリチ
ウムコイン電池(図 3)を認めたため摘出した.胃内には粘膜障害を示す
所見は認められなかった.摘出後 2 時間ほどで飲水を開始し,その後食
事を摂取しても全身状態は問題なく経過したため,入院翌日に退院とな
った.退院 1 ヶ月後に電話で連絡し,退院後は普段通り過ごしているこ
とを確認した.
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