公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.147 ベッドインベッドの転覆による窒息⃝同

タイトルNo. 147 ベッドインベッドの転覆による窒息⃝同
事例_基本情報年齢:0 歳 5 か月  性別:不明  体重:8 kg  身長:65 cm
事例_家族構成父,母,姉,兄,本人
事例_発達・既往歴定頸はやや不安定.寝返りは練習中であり,自力での動作は未確認であった
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
ベッドインベッド,90×47×18 cm,重量 2.1 kg(図 1 参照)
原因対象物
_入手経路 使用状況
オークションサイトを通じて約 6 か月前に購入し,新生児期から使用していた(前使用者は
1 年前に正規のオンラインショップで購入したとの説明であった).説明書は添付されてい
たが,詳細は読んでいなかった
臨床診断名窒息,心停止蘇生後
医療費入院 不明,外来 不明
発生状況
_発生場所
自宅寝室
発生状況
_周囲の人・状況
寝室から階段を挟んだリビングに,母と兄が在室していた.物音が聞こえるように,リビン
グの扉は少し開けられていた.
発生状況
_発生時刻
2024 年 7 月 X 日(木)  午後 5 時 35 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
X 日午後 3 時 0 分頃,寝室で母親により人工乳が与えられ,ベッドインベッドで寝かしつけ
が行われた.ベッドインベッドは,フローリングの床に敷かれた厚さ 30 cm のクイーンサ
イズのマットレスの右端に置かれており,その横(マットレスの右側)には厚さ 20 cm の
子ども用の敷布団が 3 枚並べて敷かれ,高低差は 10 cm 程度であった(図 2 参照).マット
レスは某量販店製の「硬め」を使用,子ども用の敷布団も硬めのものを使用していた.本児
は肌着の上にロンパースを着用し,タオルケットも使用していた.ベッドインベッドは傾斜
が 5~30 度で調節できる製品であり,当時は傾斜を 5 度に設定していた.
本児が寝入ったことを確認した後,母と兄は自宅リビングに在室していたが,物音などの異
変には気付いていなかった.
午後 5 時 0 分頃,父と姉が帰宅.午後 5 時 35 分頃,父が,本児が寝室の子ども用の敷布団
にうつ伏せとなり,その上に体全体が隠れるようにベッドインベッドが載った状態でいるの
を発見した.本児は呼吸停止しており,救急要請された.周囲に出血や嘔吐痕はなかった.
発見時の顔の向きは不詳(父が覚えていない)だったが,父の印象としては「右へ寝返りを
しようとしてベッドインベッドごと子ども用敷布団の上に転落し,ベッドインベッドの重さ
で頭部を含めて体全体が布団に押し付けられているよう」な状況であった.
救急要請中に,母(看護師)による蘇生行為の実施あり.
救急隊接触時には心停止(初期波形:無脈性電気活動)であったが,医療機関への到着前に
自己心拍の再開があった.医療機関では気管挿管,末梢静脈路確保,頭部 CT が施行された
(皮髄境界不明瞭の所見あり).その後,蘇生後の管理目的に,高次医療機関へ転院となっ
た.
治療経過と予後転院後,体温管理を含む神経集中指向型管理を行ったが,意識の回復は得られなかった.完
全な平坦脳波ではないが安定した自発呼吸がなく,X+11 日気管切開を施行し,X+12 日
に,一般病棟へ転棟となった.頭部 MRI では大脳・小脳・基底核や視床を含めほぼ全体的
に低酸素性脳症による変性あり,脳幹も背側に T2WI で高信号を認めた.経過から,窒息
による心停止が疑われ,各種精査でも,心疾患・代謝疾患・感染症などを疑う所見に乏し
かった.そのため,児童相談所も事故との判断に至っている.
その後,胃食道逆流による呼吸状態の悪化など認め,X+75 日に胃瘻造設した.現在も人工
呼吸管理や経管栄養を要しており,Glasgow coma scale E1VTM3 程度の意識障害が遷延し
ている.
キーワードベッドインベッド,転覆,転落,窒息