公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.146 グリッターコースター破損に伴う鉱物油の誤飲による化学性肺炎⃝

タイトルNo.146 グリッターコースター破損に伴う鉱物油の誤飲による化学性肺炎⃝
事例_基本情報年齢:1 歳 2 か月  性別:男児  体重:10 kg  身長:76 cm
事例_家族構成父,母,姉(3 歳),本児
事例_発達・既往歴特記事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
グリッターコースター
原因対象物
_入手経路 使用状況
百貨店の催事場で購入した.
リビングのおもちゃ置き場に置いてあり,自由に子どもが手に取れる場所にあった.
臨床診断名誤嚥,化学性肺炎
医療費入院 552,080 円  外来 7,440 円
発生状況
_発生場所
自宅のリビング
発生状況
_周囲の人・状況
自宅の 1 階で遊んでいた.同胞(姉)も 1 階にいたが別々で遊んでいた.母は 2 階にいた.
発生状況
_発生時刻
2024 年 1 月 X 日(日)  午後 5 時 40 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
午後 5 時 40 分ごろ,自宅の 1 階で本児が遊んでいた.母は 2 階にいたが,1 階から泣き声
がしたため様子を見に行くと,本児が咳込み,嗚咽するような様子があるのを目撃した.部
屋の中から石油の様な匂いがしており,グリッターコースターが線状に割れていた(図 1).
コースターの中からは液体が漏出していた.誤飲を疑って,本児の口に母が指を入れて吐か
せようとしたが,実際に嘔吐はしなかった.
しばらく自宅で様子をみたが,呼びかけに対する反応が悪いため救急要請し,医療機関に搬
送された
治療経過と予後発生から 1 時間程度で搬送された.受診時には軽度の鼻翼呼吸を認めるものの,SpO2 の低
下はなく,活気も保たれていた.血液検査で CRP の上昇を認めなかった.胸部 X 線写真で
は明らかな肺炎像は認めなかった.有機溶剤による化学性肺炎を懸念し入院で管理を行う方
針とした.また,誤嚥性肺炎の合併の可能性を考え,抗菌薬を開始した.
X+1 日から発熱を認め,胸部 X 線写真(図 2)で両肺野に肺炎像を認めた.X+2 日に血液
検査を施行したところ CRP 17.92 mg/dL と上昇を認めた.X+4 日に抗菌薬投与を終了し,
X+5 日には CRP 14.37 mg/dL と低下を確認した.X+6 日には解熱し,X+7 日に退院とし
た.入院経過中の呼吸状態は安定しており,酸素投与などの呼吸補助を必要としなかった.
X+8 日に外来でフォローしたところ,呼吸状態は問題なく,CRP も順調に低下傾向を認
め,胸部 X 線写真では肺炎像は残存するものの,入院中と比較して改善傾向を認めた.X+
140 日時点で,症状の再燃や後遺症の残存がないことを確認している.
キーワードコースター,鉱物油,誤嚥,化学性肺炎