公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.140 クーハンからの墜落による頭部外傷_2

タイトルNo. 140 クーハンからの墜落による頭部外傷_2
事例_基本情報年齢:日齢 7  性別:男児  体重:3.4 kg  身長:48.5 cm
事例_家族構成両親,兄(24 歳),兄(8 歳),本児
事例_発達・既往歴周産期に異常指摘なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
クーハン【図 3】
サイズ:幅 48 cm×奥行 80 cm×高さ 28 cm
原因対象物
_入手経路 使用状況
インターネットで新品を購入.日中は自宅 1 階のベビーベッドで過ごしていた.夜間のみ 2
階の寝室にクーハンで移動し,そのままクーハン内で過ごし,朝に 1 階に降りるという生活
だった.使用期間は 3 日間(3 回)で,2 階から 1 階に移動するのは 3 回目だった.
臨床診断名左頭頂骨骨折,左急性硬膜外血腫
医療費入院 724,340 円
発生状況
_発生場所
自宅の階段
発生状況
_周囲の人・状況
父が自宅の 2 階から 1 階へ本製品を用いて本児を移動させていた.階段はコの字型の回り階
段で,父は体格が大きく階段のスペースは相対的に狭かった.また,父は足の痛みを感じて
いた.母は 1 階にいた.
発生状況
_発生時刻
2023 年 5 月 X 日(火)  午前 7 時 40 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
午前 7 時 40 分,父はクーハンに児を乗せ,2 階から 1 階へ階段を降りていた.階段は木製.
父は右手でクーハンを持っていた.父が階段の降り始めに,右側にある手すりを掴むため,
クーハンを左手に持ち換えようとした際に,持ち手の片方を掴み損ねた.クーハンが傾き,
本児は約 70 cm の高さを落下し,階段で頭部を打撲し,数段落ちた位置で止まった.父の
叫び声を聞いた母が,階段の上から 5~6 段の位置(回り階段の三角の踊り場)で,うつ伏
せに倒れていた本児を抱きかかえ,安全な場所に移した.#7119 に電話相談し,1 時間ほど
様子をみていたが,四肢の動きの異常やけいれんはなかったが,不機嫌啼泣が続いていたた
め,同日午前 9 時に医療機関 A を受診した
治療経過と予後重症頭部外傷の疑いとして医療機関 B を紹介受診し,頭部 CT で左頭頂骨骨折および左急
性硬膜外血腫を認めたため【図 4】,医療機関 C へ紹介・搬送された.医療機関 C に到着し
た時,啼泣を認めていたが,バイタルサインの異常はなかった.四肢や体幹部の皮下出血等
はみられなかった.
頭部 CT 所見から入院の上で保存的加療の方針とした.また全身骨 X 線検査や眼底検査で
も異常はみられなかった.入院中に神経症状は特になく哺乳良好だった.事故予防を目的と
した地域の保健師による家庭訪問を行ったのち,X+8 日目に合併症なく自宅退院した.退
院後は,脳神経外科で経過観察を行い新規の神経症状の出現などは認めなかった.
キーワードクーハン,転落,頭部外傷