公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.140 クーハンからの墜落による頭部外傷_1

タイトルNo. 140 クーハンからの墜落による頭部外傷_1
事例_基本情報年齢:0 歳 1 か月  性別:男児  体重:4.8 kg  身長:53 cm
事例_家族構成父,母,本児
事例_発達・既往歴特記事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
クーハン(生後 4 か月未満の乳児を入れる持ち手の付いた大きなかご)【図 1】
サイズ:幅 38 cm×奥行 72 cm×高さ 25 cm
重量:約 2.5 kg
原因対象物
_入手経路 使用状況
母の姉より借りて,本児の生後すぐより使用開始していた.
購入そのものは約 2 年前(母の姉の子の出生時期).
臨床診断名くも膜下出血,眼窩内出血
医療費入院 154,400 円  外来 1,120 円
発生状況
_発生場所
自宅の庭
発生状況
_周囲の人・状況
発生時は父,母が一緒にいた.
発生状況
_発生時刻
2023 年 5 月 X 日(水)  午後 3 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
5 月 X 日自宅で,本児をおくるみに包んだ状態で,クーハンに寝かせていた.午後 3 時 30
分頃外出をするため,父がクーハンの持ち手を肩にかけ運んでいた.庭に出たところ,持ち
手が肩から滑り落ち父の腕に引っ掛かったままクーハンがひっくり返り,その勢いで本児は
高さ 1 m ほどから地面に落下した.庭は砂利が多く,草は生えていなかった.おくるみの
中で直接確認できなかったが,抱き上げた時の状況より,おそらく本児は左顔面を下にして
落下していた.すぐに啼泣があり,意識消失や嘔吐は認めなかった.左前額部と左上眼瞼に
皮下出血を認めたため,医療機関 A を受診した.
治療経過と予後医療機関 A を受診時(受傷から約 70 分後),意識は清明で啼泣あり.心拍数 172 回/分,呼
吸数 33 回/分,SpO2 97%,体温 37.7℃.頭部以外には挫傷や紫斑はなし.頭部 CT を撮影
し,右前頭部のくも膜下出血と左眼窩内の出血を疑う所見がみられた【図 2a.2b】.眼窩上
壁を含む頭蓋骨の骨折は認めなかった.入院の上,意識状態を観察する方針とした.補液と
トラネキサム酸の緩徐な静脈内投与を行った.全身状態は変わりなく経過し,X+1 日午前
10 時頃(受傷から約 19 時間後)に頭部 CT を再検,前日と比べ悪化がないことを確認し
た.眼底検査でも異常は認めず,同日退院した.X+16 日に外来で経過を確認したが,頭部
外傷に起因する症状は認めず,経過観察は終了とした.
キーワードクーハン,肩掛け,墜落,頭部外傷