No.076 プロカテロール塩酸塩水和物(定量噴霧剤)の過量吸入
| タイトル | No. 76 プロカテロール塩酸塩水和物(定量噴霧剤)の過量吸入 |
| 事例 | 年齢:11 歳 1 か月 性別:男児 体重:43kg 身長:151cm |
| 傷害の種類 | プロカテロール塩酸塩水和物(定量噴霧剤)を 100 回吸入した. |
| 原因対象物 | プロカテロール塩酸塩水和物(定量噴霧剤) |
| 臨床診断名 | 気管支喘息発作,乳酸アシドーシス,低 K 血症,頻脈,高血糖 |
| 医療費 | 290,820 円 |
| 発生状況 _発生場所 | 自宅 |
| 発生状況 _周囲の人・状況 | 普段は母と二人暮らし.その日,母は仕事で,父と自宅にいた. |
| 発生状況 _発生時刻 | 2017 年 10 月 6 日 午後 2 時頃 |
| 発生状況 _発生時の詳しい様子と経緯 | 既往歴:喘息発作が 2~6 か月毎に起こっているが,かかりつけ医のクリニックを受診し吸 入すると改善するため,入院歴はない. 現病歴:前日夜から呼吸苦が出現し,当日午前 3 時に救急病院を受診し喘息発作として,β2 刺激薬の吸入及び点滴の治療をうけた.しかしその後も症状は改善せず,午前 10 時にかか りつけ医を受診し,β2 刺激薬の吸入及び内服,プロカテロール塩酸塩水和物(定量噴霧剤) を処方され帰宅した.午後 1 時から吸入してよいといわれていたため,午後 1 時に自宅で吸 入をした.吸入キットに「吸入 100 回」と書いてあるので 100 回吸入した後,午後 3 時にか かりつけ医を再診したが,症状の改善を認めないことから高次医療機関を紹介された. |
| 治療経過と予後 | 高次医療機関の受診時(午後 4 時半),体温 37.8 度,SpO2 96%(室内気),HR17~180 回/ 分 顔色やや不良で努力呼吸,呼気性喘鳴や頻脈を認めたが,ギャロップ音は聴取しなかっ た.血液検査データでは,静脈血にて乳酸アシドーシス(pH 7.287,CO2 39.4mmHg,HCO3 -18.5mmol/L,BE -7.7mmol/L,AG 20.6mmol/L,Lac 8.61mmol/L),高血糖(Glucose 322mg/dL),低 K 血症(K 2.44mmol/L)を認めた.尿糖は 5+ であったが,ケトンは陰性 であった.エコー上心機能は良好でトロポニン T は陰性,NT-pBNP は 74pg/mL とわずか な上昇であった.喘息に対しては Nasal high flow 酸素療法およびステロイド静注のみで経 過観察し,点滴や内服にて K 補正を行った.頻脈に関しては,12 誘導心電図にて P 波を認 めたが,心房頻拍の可能性も考慮し迷走神経刺激および Ca 拮抗薬を投与した.しかし投与 後も反応なく頻脈は持続していた.その後翌朝にかけて自然と徐々に頻拍は改善傾向となり HR は 80 回/分台になった.また高血糖や乳酸アシドーシスも改善した.その後の問診で, プロカテロール塩酸塩水和物(定量噴霧剤)を,キットの記載通りに 100 回吸入したとの話 を聞き,プロカテロール塩酸塩水和物(定量噴霧剤)の過量吸入による乳酸アシドーシス, 低 K 血症,高血糖,頻脈であったと判明した.喘鳴や努力呼吸などの症状も改善し,特に 後遺症は認めず,10 月 9 日に退院した.なお,10 月 6 日午後 6 時の血液検体のプロカテロー ル血中濃度は 1,440pg/mL(通常成人男性が 4 回分吸入した場合,15 分後の血中濃度は約 130pg/mL)であった. |
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