No.071 自転車運転中の保護者に背負われた状態から転倒時に放出され重症頭部外傷を負った乳児
| タイトル | No. 71 自転車運転中の保護者に背負われた状態から転倒時に放出され重症頭部外傷を負った乳児 |
| 事例 | 年齢:0 歳 5 か月 性別:男 体重:6.7kg 身長:76.0cm |
| 傷害の種類 | 自転車運転中の保護者に,子守帯で背負われた状態からの転倒・衝突 |
| 原因対象物 | おんぶ紐(ひもタイプ),自転車 |
| 臨床診断名 | 1.右頭頂骨骨折 2.急性硬膜下血腫・脳挫傷 3.脳挫傷に伴う症候性てんかん |
| 医療費 | 入院:1,327,940 円,外来:28,000 円(2016 年 6 月現在) |
| 発生状況 _発生場所 | 信号のない横断歩道 |
| 発生状況 _周囲の人・状況 | 母親:自転車を運転し児(ヘルメット不着用)を子守帯(図 1)で背面に背負っていた.子 守帯の留め金をすべて閉めており,児は全身を覆う形状のダウンジャケットを着用し,児の 体と母親の体とに隙間はなかった. 姉(8 歳):母が運転する自転車の子ども用後部座席(チャイルドシート)に座り,シート ベルトをしていた(ヘルメット着用). |
| 発生状況 _発生時刻 | 2016 年 3 月 5 日 午前 10 時 00 分 |
| 発生状況 _発生時の詳しい様子と経緯 | 交差点内の信号のない歩行者横断帯(自転車横断帯はなし)を走行した際に,前方左側から 徐行で左折してきた普通乗用車が,母親が運転する自転車の左側に接触し,自転車は右側に 転倒した.児は子守帯から飛び出し,頭を下にして 1m 右前方に落下した.目撃者が救急要 請を行い,病院へ救急搬送された. 母と姉は右側近傍に転倒し,前腕等に軽微な擦過傷を受傷した.自動車の運転手に外傷を認 めなかった.尚,自転車はハンドル,ペダル,チャイルドシート,後輪それぞれの右側に軽 微な損傷を認めた(図 2). |
| 治療経過と予後 | 児に基礎疾患はなく,出生後成長発達に問題は認めなかった. 病院搬入時,グラスゴー昏睡尺度(GCS)は 15 点で,右頭頂部から側頭部にかけて 5cm 程 度の腫脹を認めた.頭部 CT 検査にて右頭頂骨骨折とその直下に軽微な急性硬膜下血腫と脳 挫傷を認めた.その他,右背部の腸骨稜近傍に擦過傷を認めた以外に外傷はなかった.意識 レベルの経過観察目的に集中治療室に入院した. 受傷 3 時間後に頭部 CT を再検し右頭頂葉に 3cm 程度の血腫の増大を認めた.GCS は 15 点,頭蓋内圧亢進所見を認めず,外科的介入は要さなかったが,Hb が 5g/dL 台と貧血が進 行し,循環が不安定となったため,気管挿管・人工呼吸管理,濃厚赤血球輸血を実施した. 受傷後 24 時間の頭部 CT 検査にて血腫のサイズが改善傾向にあることを確認し,第 3 病日 に抜管した.第 4 病日に頻脈と酸素飽和度低下を伴う左下肢のペダル漕ぎ様運動を 10 分弱 認めた.精査にて脳波異常を認めたため,脳損傷による症候性てんかんと診断し,カルバマ ゼピンの投与を開始した.また,経過とともに左上肢の麻痺が明らかとなった.第 6 病日に 一般病棟に転棟し,第 12 病日に退院となった. 受傷 3 か月後,左上肢の麻痺は軽快傾向にある.カルバマゼピンの内服を継続し,慎重に経 過観察中である.外来での診察,乳児健診では左上肢の麻痺以外に発達の異常は認めていな い |
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