公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.059 水筒による膵外傷

タイトルNo. 59 水筒による膵外傷
事例年齢:7 歳 5 か月  性別:男  体重:24.0kg  身長:129.5cm
傷害の種類転倒による腹部打撲
原因対象物水筒
臨床診断名外傷性膵損傷
医療費4,899,370 円(入院医療費)
発生状況
_発生場所
登校中の小学校の校内
発生状況
_周囲の人・状況
発生状況
_発生時刻
2015 年 6 月 5 日 午前 8 時 00 分頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
小学校へ登校中,学校内に入ったところ(下は硬い土)でつまずいて転倒した.走ってい
たため,かなり勢いがついて回転したように転んだが,そのときに地面とお腹の間に首か
ら提げていた水筒が挟まり,腹部を強打した.水筒は蓋側を下(地面側)にして,底の部
分でお腹を打った.受傷後よりぐったりして嘔吐が続いたため近医を受診.内臓損傷の可
能性を疑われ,精査加療のために当院を紹介され,受診した.
治療経過と予後来院時,顔色不良,活気低下,腹痛持続,血性嘔吐を認めた.血液検査にて膵アミラーゼ,
リパーゼの上昇を確認.腹部 CT にて膵体部の断裂を確認し,外傷性の膵損傷と診断した.
その他,肉眼的血尿も少量認め,腎損傷も軽度ながら存在したと考えられた.
CT 上,主膵管の断裂が疑われたため,開腹にて洗浄・ドレナージを施行.その後も腹痛が
持続し,術後 5 日目に腹部 CT 再検.腹腔内への膵液漏出持続が疑われたため,再開腹し
膵体尾部切除・脾臓合併切除した.その後症状はいったん治まったが,14 日目にドレーン
から突然出血を認めたため,緊急開腹術を施行したところ,脾動脈からの出血を認めた.
膵液瘻により動脈結紮部が溶解したことによる出血が疑われた.出血の原因となっている
動脈を結紮し,以降出血は認めず,腹痛も治まっている.2015 年 7 月 18 日に軽快退院.
膵臓を 50% 程度摘出し,脾臓も摘出したことで,今後糖尿病の発症や肺炎球菌などの感染
に注意が必要になると考えられる.
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