公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.133:類似事例:鼻咽頭検査キットによる消化管異物(No.133 新型コロナウイルス抗原検査キットによる鼻 腔異物の類似事例 1)

タイトル鼻咽頭検査キットによる消化管異物(No.133 新型コロナウイルス抗原検査キットによる鼻
腔異物の類似事例 1)
事例_基本情報年齢:1 歳 6 か月 性別:男児 体重:11kg 身長:82cm
事例_家族構成父、母、姉、本児
事例_発達・既往歴食物アレルギー(小麦、卵、乳)
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
鼻咽頭ぬぐい検体採取用綿棒
原因対象物
_入手経路 使用状況
鼻咽頭検査キットとして広く医療機関で使用されているもの。綿
棒を鼻腔に挿入して検体を採取する。1回ごとに使い捨てのもの
である。
臨床診断名異物誤飲
医療費入院 926,750 円 外来 121,350 円
発生状況
_発生場所
医療機関(外来)
発生状況
_周囲の人・状況
検体採取を行う診察室で、医師、看護助手、母、本児が同室内にい
た。
発生状況
_発生時刻
2023 年 6月 X 日 (金) 午前 10 時 55 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
X 日午前中、鼻汁・咳嗽を主訴に医療機関 A を受診した。RSV
/hMPV 抗原検査用の検体採取を試み、一度目は母が膝上に児を
前向きに抱っこし、固定した状態で検体採取を試みたが、児の体
動が激しく、綿棒先端が児の鼻孔から 1-2cm 程度までしか挿入で
きなかった。同じ綿棒を再使用し、児と母の体勢は一度目と同様
で、固定介助者を1名加え検体採取を試みた。鼻咽頭まで挿入し
た時点で、ハンドルの切れ込み部で綿棒が折れてしまい、綿棒の
折れた先端部分が児の体内に残った。事故発生直後に児は大量に
嘔吐したが吐物の中に綿棒の排出がなく、鼻腔・口腔内を観察し
たが綿棒が発見できなかった。医療機関 A の耳鼻咽喉科に異物除
去を依頼し、午前 11 時 15 分頃に鼻腔咽頭ファイバースコピーで
観察するも異物を確認できなかった。頭部〜胸部 C T 検査を実施
し、食道内に綿棒の可能性を疑う異物陰影を認めたため、異物摘
出のため医療機関 B(高次医療機関)の小児外科に紹介した。
治療経過と予後搬送先では全身状態良好であり、消化管造影を実施するが異常所
見を認めなかった。症状が乏しく異物が確認できないこと、鋭利
でないことや全身麻酔や内視鏡処置リスクを総合的に判断し内視
鏡検査は不要と判断され、経過観察となった。X+3 日、異物の便
への摘出が確認できていないため、腹部 CT 検査を実施し、上行
結腸内に線状の高吸収域を認めた(図 1)。下部消化管内視鏡検査を
検討したが、自然排泄を待つ方針とした。結腸内に大量の便貯留
があり、便秘により排泄の遅れを疑い定期的に浣腸をして入院観
察を継続した。X+5 日に再度腹部 CT 検査を実施したが異物は確
認できず、膿瘍形成や穿通などの異常所見もなかった。自宅での
経過観察の方針とし、退院した。その後も綿棒の排出が確認でき
ず、X+27 日に頸胸腹部 MRI 検査を実施したが、異物は確認でき
なかった。X+188 日に全身麻酔下で上部消化管内視鏡検査を実施
したところ、粘膜病変はなかったが、幽門から十二指腸球部にか
けて綿棒が確認されたため摘出し(図2)、X+189 日に退院した。
キーワード綿棒、鼻腔異物、消化管異物、消化管内視鏡