公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.131:類似事例:縦滑り出し窓からの墜落による頭部・顔面外傷(No.131 網戸からの墜落による頭部・顔面 外傷、上肢骨折の類似事例 1)○

タイトル縦滑り出し窓からの墜落による頭部・顔面外傷(No.131 網戸からの墜落による頭部・顔面
外傷、上肢骨折の類似事例 1)○
事例_基本情報年齢:2 歳 7 か月 性別:男児 体重:14.8kg 身長:95.5cm
事例_家族構成父、母、本児
事例_発達・既往歴健診での明確な指摘はないが、両親からみて落ち着きがないよう
に見えることが多かった。
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
縦滑り出し窓の二重ロック
原因対象物
_入手経路 使用状況
賃貸アパートの設備として元々備え付けられていた。
リビングの縦滑り出し窓には落下防止のために 2 本の棒が設置
されていたが、窓横にソファがあり、普段から児が窓に触れる環
境であった。本児は棒にぶら下がることを繰り返していた。窓の
二重ロック(縦フレーム側の取手式開閉ハンドル+スライド式ロ
ック)を設置していたが、本児は普段から二重ロックを触ってい
た。両親は本児が操作しないよう度々注意していたが、事故前に
本児が二重ロックを解除した場面は確認されていなかった。両親
によると、ハンドルは本児の力でも操作できる可能性があるもの
であり、スライド式ロックも触っていて容易に解除できるもので
ある(転落前に解除してあったかどうかは不明)とのことであっ
た。
臨床診断名左脳挫傷、気脳症、左前頭骨骨折、眼窩骨折
医療費入院 593,430 円
発生状況
_発生場所
自宅アパート 2 階のリビング角の縦滑り出し窓。(図 1、2 参照)
発生状況
_周囲の人・状況
母は寝室で寝ていた。父は入浴中だった。
発生状況
_発生時刻
2024 年 11 月 X 日 (水) 午後 9 時 50 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
両親と本児でアパートの 2 階に在宅しており、寝室で母が本児
の寝かしつけをしていたところ母が先に寝てしまった。父は入
浴中だった。午後 9 時 50 分ごろ、外から泣き声がすることに
母が気づき、2 階のリビングの開いた窓から下を覗いたとこ
ろ、玄関の前(コンクリートの床)で本児がうつぶせになって
泣いていたため救急要請した。
治療経過と予後医療機関搬送時、啼泣しており左前額部に 2×3cm 程度の打撲痕
と擦過傷(図 3)があり、左眼窩の腫脹と血腫を認め、左の開眼
は困難であった。体幹部や四肢に打撲痕は認めず、四肢は問題な
く動かしていた。全身 CT を撮影したところ、左脳挫傷、気脳症、
左前頭骨骨折、眼窩骨折を認めた(図 4)。形成外科、脳神経外科
も併診し、緊急手術による介入は不要という判断で、経過観察入
院となった。X+1 日に眼科の診察が行われたが、明らかな左視神
経損傷はなく、形態覚遮蔽弱視予防のために開瞼を励行しながら
経過を見る方針となった。X+2 日、右眼瞼腫脹も見られるように
なってきた。X+3 日、左開眼が徐々に可能になってきた。X+5 日、
右眼瞼腫脹は消退し、左眼瞼腫脹も改善傾向で半分程度開眼可能
になり、全身状態も良好であることから同日退院とし、外来で経
過フォローの方針とした。X+13 日の外来受診時は、機嫌よく顔
色良好で、両眼瞼腫脹は軽度残存するものの、両側普段通りに開
眼できるようになっていた。同日の眼科診察では視力検査(ハン
ドル検査、ドットカード検査)は児の協力を得られなかったもの
の、眼位正常、眼球運動障害なし、追視良好という結果であった。
X+89 日の外来受診時には、皮膚の外傷部の痕も消失しており、
全身状態良好であった。眼科は視力検査での客観的な評価が困難
であることから有事再診となった。
キーワード墜落、転落、窓、頭部外傷、顔面外傷