公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.125:類似事例:柄付き鍋内の熱湯による熱傷(No. 125 キッチンで受傷した熱湯による体幹・四肢熱傷の類 似事例 1)○

タイトル柄付き鍋内の熱湯による熱傷(No. 125 キッチンで受傷した熱湯による体幹・四肢熱傷の類
似事例 1)○
事例_基本情報年齢:3 歳 7 か月 性別:女児 体重:15kg 身長:96cm
事例_家族構成父・母・兄(8 歳、9 歳)・本児
事例_発達・既往歴特記事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
前胸腹部、右臀部、右大腿および右下腿の浅達性Ⅱ度熱傷(20%)
原因対象物
_入手経路 使用状況
店舗で購入
臨床診断名タバコ誤飲、ニコチン中毒
医療費入院 1,073,460 円 外来 5,070 円
発生状況
_発生場所
自宅のキッチン
発生状況
_周囲の人・状況
キッチンで母とともに調理をしていた。普段から調理には関わる
環境で生活しており、年長の兄たちも積極的に料理をし、家族に
ふるまうこともあった。
発生状況
_発生時刻
2025 年 7 月 X 日 (日) 午前 7 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
自宅のキッチンで母が朝食の準備をしていたところ、本児が
「お手伝いする」と言ったので、一緒に調理をしていた。母が
傍に付き添い、本児は踏み台(1段の折り畳み式、幅 32 ㎝、高
さ 22 ㎝、安定性あり)に乗っている状態で、向かって手前左側
のガスコンロで、柄付きの雪平鍋(直径 16 ㎝容量 1,200mL)
(図 1)に、お湯を 1,000mL 程度沸かし、そうめんを茹でてい
た。児は 3 歳からよくお手伝いをよくしており、コンロでのホ
ットケーキ作り、同様の鍋を用いた味噌汁作りも経験してい
た。午前 7 時 30 分、コンロの正面にいた本児に、本児の左側
にいた母が鍋の柄を指さし「ここは熱くないから触っても大丈
夫」と指導した。その後、本児が鍋の柄を握り、体重をかけた
ため柄に下方向の力がかかり、鍋本体が本児の方向に倒れ、沸
騰したお湯が本児の前胸部、右下肢にかかった。本児は綿のパ
ジャマの上下を着ていた。家族がすぐに救急要請し、医療機関
を受診した。救急隊が到着するまでの約 15 分間は、母が浴室で
冷水シャワーをかけて冷却していた。
治療経過と予後医療機関搬送時、呼吸・循環は安定していた。右側 2/3 程度の前
胸腹部、右臀部~大腿~下腿(非全周性)に計 20%の浅達性Ⅱ度
熱傷を認めた(図 2、3)。顔面や頸部には熱傷を認めなかった。広
範囲熱傷であったため、Baxter 法を用いて初期輸液を開始した。
鎮痛鎮静下に洗浄処置を施行し、炎症性皮膚疾患治療剤および熱
傷被覆・保護材で被覆後、入院加療とした。入院後も鎮痛鎮静下
に、洗浄・湿潤療法を継続した。X+1 日、全身状態は安定して
いたが、創部の悪臭、膿性浸出液、発熱を認め、感染が疑われた
ため、抗菌薬の静脈投与を開始した。創部の経過は良好であり、
X+9 日に抗菌薬の投与を終了し、X+12 日に退院となった。退
院時、創部は概ね上皮化傾向だったが、前胸部、右大転子部、右
足関節周囲の一部創部に肥厚を認めた。その後、同部位に瘢痕形
成があり、形成外科外来の通院を継続している。
キーワード雪平鍋、キッチン、お手伝い、熱傷