公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.109:類似事例:高吸水性樹脂球の誤飲による腸閉塞 (No.109 高吸水性樹脂球の誤飲による腸閉塞の類似事 例 7)

タイトル高吸水性樹脂球の誤飲による腸閉塞 (No.109 高吸水性樹脂球の誤飲による腸閉塞の類似事
例 7)
事例_基本情報年齢:0 歳 11 か月 性別:男児 体重:9kg 身長:76cm
事例_家族構成父、母、中 3 兄、中 1 姉、小 3 兄、小 1 姉、年中姉、本児(第 6 子)
事例_発達・既往歴特記事項なし、手術歴なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
水で膨らむボール (高吸水性樹脂球)
大きさは水を吸収していなければ、1つあたり直径 10 -20mm 大。
水で膨らむと直径 35-40mm 大になる。
原因対象物
_入手経路 使用状況
半年ほど前に 100 円均一ショップで購入したもので、小 1、年中の
姉らがペットボトルに入れて膨らませて遊んでいた。両親は、本
児が誤飲しないように気をつけており、手の届かない高さの棚の
上に袋に入れて保管していた。
臨床診断名異物誤飲、小腸閉塞
医療費入院 1,354,290 円 外来 9,520 円
発生状況
_発生場所
自宅
発生状況
_周囲の人・状況
母、祖母
発生状況
_発生時刻
2022 年 4 月 X 日 (火) 昼頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
X-2 日頃に、母が自宅で対象物の製品袋を開封した際に、床にま
き散らしたが、見つけた範囲で全て回収し掃除していた。その時
点を含めて水で膨らむボールで本児は遊んでいるのを目撃された
ことはなかった。X 日昼すぎに、兄弟の迎えのため、昼寝をして
いる本児を残して、母が外出し、10-20 分程度後に入れ替わり
で、祖母が家に到着した。その際、本児は啼泣しており、嘔吐や
嗚咽などはみられなかった(おそらくこの間に誤飲したと推測さ
れる)。X 日夜より、嘔吐が出現し、水分や食事を摂取後に嘔吐
を繰り返していたが機嫌は悪くなかったため、自宅で経過観察し
ていた。その後少しずつ、活気不良となってきたため、X+3
日、医療機関 A を受診し、補液と制吐剤で経過観察となったが、
X+4 日、症状が持続するため、医療機関 B を受診した。同日
も、血液検査、補液後に、再度経過観察となったが、X+5 日、医
療機関 B を再診し、胸腹部X線写真にて腸閉塞を疑う所見があ
り、同日、医療機関 C に紹介受診となった(図 1)。
治療経過と予後受診時、本児はぐったりして反応に乏しく、腹部は緊満していた。
医療機関 B の胸腹部X線写真では小腸閉塞を疑う所見であり、同
日実施した腹部造影 CT では明らかな絞扼性腸閉塞は認めなかっ
たが、左上腹部に閉塞機転を認め、小腸閉塞と診断した(図 2)。
腸閉塞に対して試験開腹を行った。臍上縁に沿った小開腹で拡張
した小腸を創外に誘導し、閉塞起点を検索したところ、左上腹部
に腸管内異物を確認した。異物は腸管内に嵌頓している状態で、
小腸は漿膜一枚でかろうじて保たれ、穿孔寸前の状態であった(図
3)。同部位を切開して異物を取り出し、漿膜化血腫をきたしてい
た小腸を 15cm 切除した。異物は直径 3cm 大であり、自宅で遊ん
でいた、水で膨らむボールであることを確認した(図 4)。術後は一
般病床にて経過観察とし、経過良好であり、術後 7 日目の X+12 日
に退院とした。退院後外来で、後遺症などなく経過していること
を確認した。
キーワード高吸水性樹脂球,腸閉塞,異物誤飲