公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.096:類似事例:髪留め用輪ゴムによる歯肉への迷入(No.96 ストロー様異物による乳歯への嵌入の類似事例 1)

タイトル髪留め用輪ゴムによる歯肉への迷入(No.96 ストロー様異物による乳歯への嵌入の類似事例
1)
事例_基本情報年齢:3 歳 11 か月 性別:女児 体重:13.2kg 身長:91.9cm
事例_家族構成父、母、弟
事例_発達・既往歴ダウン症候群
言語発達:一語文を使用、歯科診療における指示理解は良好
運動発達:片足立ち可能、ひとりで衣類着脱やボタンかけが可能
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
髪留め用輪ゴム(ポリウレタン製)
ゴム幅:1.5mm
輪の形状(未使用時):長径 20mm×短径 7-9mm の楕円状
原因対象物
_入手経路 使用状況
本児の髪留め用に毎日使用していた。未使用分は本児の手が届か
ないところに保管していたが、一度使用したものに関しては特段
管理していなかった。以前から、本児が自分で髪から外してその
まま遊んでいることがあった。
臨床診断名本児の髪留め用に毎日使用していた。未使用分は本児の手が届か
ないところに保管していたが、一度使用したものに関しては特段
管理していなかった。以前から、本児が自分で髪から外してその
まま遊んでいることがあった。
医療費入院 0 円 外来 7,730 円
発生状況
_発生場所
不明
発生状況
_周囲の人・状況
家族が新型コロナウイルス感染で自宅療養となったため、未感染
であった本児は、所見に気づかれる直前7日間ほど祖父母宅へ預
けられていた。
発生状況
_発生時刻
明確な発生時期は不明 2022 年 12 月 X 日 (水)に発覚
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
X 日に祖父母宅から自宅へ戻った際、本児の下顎歯肉がめくれ
ていることに母が気づいた。同日中に自宅近くの歯科 A を受診し
た。何らかの外傷性が疑われ、自然治癒を期待して 1 週間経過観
察された。しかしながら、X+7 日時点で治癒傾向が認められな
かった。小児病院歯科 B へ紹介され、X+9 日に受診した。
治療経過と予後〈歯科 B 初診時の口腔内所見〉
下顎左右乳犬歯間部の歯肉に、深さ約 3mm の歯肉裂傷を認めた
(図 1)。創部からの活動性出血や排膿はなかったが、歯間乳頭部
(歯と歯の間の歯肉)の腫脹と歯根露出があり(図 2)、下顎左右
乳犬歯に軽度の動揺を認めた。
両親によると、祖父母宅へ預ける当日の朝、自宅で歯磨きをし
た際には本児の口腔内に異常はなかったという。また、祖父母宅
に滞在中、本児が口の中を気にしたり経口摂取や歯磨きを嫌がっ
たりする様子は特になかったようである。詳細な発生時期や状況
は不明だが、日頃から本児が輪ゴムを口にくわえていることがあ
ったという母の証言があり、輪ゴムによる歯肉迷入が疑われた。
詳細に観察したところ、下顎の左乳犬歯から右乳犬歯まで計 6 本
の歯牙を包囲するように輪ゴムがはまっており、それが徐々に直
下の歯肉に迷入していったものと考えられた(図 3)。歯肉に局所
麻酔を行い、輪ゴムを摘出した(図 4)。
〈摘出後の経過〉
X+23 日時点で歯肉は治癒傾向であり、乳犬歯の動揺もおさま
っていた(図 5)。
キーワード口腔内異物、輪ゴム