公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.087:類似事例:魚骨による食道異物(No.87 魚骨による下咽頭異物の類似事例 1)

タイトル魚骨による食道異物(No.87 魚骨による下咽頭異物の類似事例 1)
事例_基本情報年齢:1 歳 11 か月 性別:男児 体重:12.8kg 身長:93cm
事例_家族構成父、母、姉(4 歳)
事例_発達・既往歴喘息の疑いとして薬物治療を行われたことがある
伝染性軟属腫、右急性中耳炎
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
鱈の骨
原因対象物
_入手経路 使用状況
自宅での夕食で鱈のあらのフライをはじめて食べた
これまで鱈以外の魚をどの程度食べていたかは不明
臨床診断名食道異物
医療費入院 438,170 円
発生状況
_発生場所
自宅の居間
発生状況
_周囲の人・状況
父、母は一緒にいた。同胞は不明
発生状況
_発生時刻
2021 年 5 月 X 日 (日) 夜
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
X 日夜に家族で鱈のあらのフライを食べた。フライは自宅で調理
したもので、鱈の骨の除去は事前に全く行っていなかった。母の
食べたフライには骨がたくさん含まれていたが、児のフライは一
口大にされており一見して骨はない様子であった。母はそばにい
て、児が食べるところを目撃していた。児が食べている最中に泣
き叫び、おかしいと感じた母が児の背中をたたいたが何も排出さ
れなかった。その後哺乳できたため経過をみた。児はその後哺乳
できていたが、同日中に血液の付着したものを嘔吐した。その後
は啼泣し就眠した。
X+1日に普段好きな物も食べず豆腐などを 1 口食べる程度と食思
不振を認め A 小児科を受診したところ魚骨誤飲疑いと言われた。
X+2 日に近医耳鼻科で喉頭ファイバースコピーを施行されたが明
らかな魚骨を認めなかった。夕にはポテトなどを食べることがで
きた。X+4 日に固形物の摂取不良が再度出現し持続したため、X+5
日に A 小児科を再診し、魚骨誤飲の疑いとして医療機関 B へ紹介
となった。
なお、経過中には右中耳炎に罹患している。(X+2 日夜に 38 度台
の発熱が出現、X+3 日に右鼓膜の腫脹と膨隆などをみとめ、右急
性中耳炎の診断でアモキシシリンを処方され、X+4 日には解熱し
ている)
治療経過と予後医療機関 B を受診時、げっぷやえずきと経口摂取不良を伴うこと
から食道異物の疑いとして、入院のうえ、同日全身麻酔下で緊急
上部消化管内視鏡検査を行った。上部消化管内視鏡検査で、食道
入口部に 20mm×20mm 大で辺縁はところどころ細く鋭利で全体
は扁平な魚骨(図 1)を認めた。さらにその口側では食物残渣が貯
留していた。把持鉗子で魚骨を把持し、内視鏡ごと引き抜いて摘
出した。周囲粘膜には浅い潰瘍病変を認めた。同日は絶飲食管理
とした。魚骨抜去後、嘔吐などの症状は消失したため、入院翌日
(X+6 日)に飲水開始し、X+7 日には食事摂取可能となった。
抗菌薬については、絶食期間中はビクシリン静脈内投与としたが、
経口摂取開始後はアモキシシリン内服に戻した。その後も経過良
好であり X+9 日に退院した。
キーワード魚骨、食道異物、上部消化管内視鏡検査