公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.066:類似事例:磁気ネックレス内蔵磁石の誤飲による胃・十二指腸穿孔(No.66 磁石と鉄球の誤飲による小 腸穿孔の類似事例 13)

タイトル磁気ネックレス内蔵磁石の誤飲による胃・十二指腸穿孔(No.66 磁石と鉄球の誤飲による小
腸穿孔の類似事例 13)
事例_基本情報年齢:3 歳 10 か月 性別:男児 体重:15.9kg 身長:100cm
事例_家族構成父、母、弟(1 歳)
事例_発達・既往歴特記すべき既往歴なし、精神発達遅滞なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
磁気ネックレス(図 1)
本体はシリコン製で全周約50cm。計8個の希土類磁石*(長径6mm、
磁力 160mT)が内蔵されている。
原因対象物
_入手経路 使用状況
5 年以上前から、父が磁気ネックレスを常用していた。2 年ほど
前の買い替えを機に、父が使わなくなった古い製品が日常的に本児
の遊び道具となっていた。
両親の記憶では、本事例発生前にネックレスが破損しているとい
う認識はなかった。
臨床診断名胃・十二指腸穿孔
医療費入院 900,550 円
発生状況
_発生場所
自宅
発生状況
_周囲の人・状況
母は本児の近くで弟の世話をしていた。
発生状況
_発生時刻
2023 年 3 月 X 日 (月) 午後 3 時頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
上記日時に、本児が磁気ネックレスのシリコンループを口にくわ
えて噛んでいた。母は弟の面倒を見ながらその様子に気づいた
が、すぐには注意せずそのまま遊ばせていた。しばらくしてネッ
クレスを確認すると、シリコンループが噛み切られていた。
約 3 時間後に本児が嘔吐したため、同日医療機関 A を受診した。
治療経過と予後医療機関 A 初診時、腹部 X 線(立位正面像)でネックレスの内蔵
磁石と思われる 6 ㎜大の異物が 2 個接着した状態で確認された(図
2-a)。嘔吐は受診前の1回のみで、腹部の診察所見に異常はなく、
全身状態良好であったため、自然排泄を待つ方針で帰宅した。
X+2 日に再診した。腹部 X 線上、異物は停滞していた(図 2-b)
が、嘔吐の反復なく経口摂取も可能であったため、引き続き経過観
察された。母の話では、以降、経口摂取や排泄の状況を含め本児の
全身状態に特段変わった様子はなかったという。しかしながら、異
物の排泄が目視で確認できていなかった。X+11 日に再診したとこ
ろ、腹部 X 線で異物停滞が確認された(図 2-c)。
医療機関 B へ紹介され、X+15 日に入院した。X+16 日、摘出術
が施行された。まず上部消化管内視鏡でアプローチしたところ、胃・
十二指腸とも粘膜面には潰瘍治癒瘢痕を認めるのみであった。2 個
の磁石は互いに接着した状態で、胃と十二指腸の間(消化管外)に
存在した(図 3)。これを腹腔鏡下に同定し、摘出した。
摘出された異物(図 4)は、破損したネックレス内に残存している
ものと同形の磁石であることが確認できた。2 個の磁石が胃側・十
二指腸側から引き合って接着し、穿通を来したのちに、粘膜は自然
治癒したと考えられた。術後経過は問題なく、X+19 日に退院した。
退院 2 ヶ月後の外来で、後遺症なく全身状態良好であることが確認
され、終診となった。
キーワード誤飲、磁石、消化管穿孔