公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.066:類似事例:強力磁性玩具の誤飲による小腸穿孔(No.66 磁石と鉄球の誤飲による小腸穿孔の類似事例 5)

タイトル強力磁性玩具の誤飲による小腸穿孔(No.66 磁石と鉄球の誤飲による小腸穿孔の類似事例 5)
事例年齢:3 歳 4 か月 性別:女児 体重:13.9kg 身長:102.6cm
傷害の種類異物誤飲
原因対象物強力磁性玩具(マグネットボール 直径 3 ㎜大 計 12 個 【図 1】)
対象年齢は 14 歳以上と記載されている。
臨床診断名胃・小腸穿通
医療費入院費 252,760 円
発生状況
_発生場所
自宅の居間
発生状況
_周囲の人・状況
自宅の居間で 8 歳の姉と本児がマグネットボールで遊んでいた。両親
はおらず、子供たちだけであった。
発生状況
_発生時刻
2020 年 5 月X日(土)時間詳細不明
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
5 月 X 日、知人より姉がもらったマグネットボールで、姉と遊んでい
た。X+1 日から腹痛(臍周囲の間欠痛)が出現し、X+2 日午前に医療
機関 A を受診した。
治療経過と予後医療機関 A にて鎮痛剤が処方されたが症状が改善せず、同日午後に医
療機関 A を再診し整腸剤を追加された。夕食後に嘔吐・腹痛が再燃し、
救急病院 B を受診した。浣腸施行後に腹痛症状が改善したため、便秘
の診断で帰宅した。しかし再度腹痛が再燃し、食思不振が継続してい
たため X+3 日午前に B 病院を再診した。再診時、体温 37.1 度、心拍
数 112 回/分、血圧 102/64mmHg 、呼吸数 22 回/分、SpO2(室内気)99%
とバイタルサインは安定していた。腹部膨満や反跳痛、筋性防御はみ
られなかった。経過が長いことから腹部単純X線検査を施行したとこ
ろ、上腹部に直径 3 ㎜の球形物が数珠状に 12 個連なっており【図 2】、
異物誤飲と診断した。両親は誤飲の現場は目撃しておらず、誤飲の正
確な日時は不明であった。まず、透視下でマグネットカテーテルを用
いて 5 個マグネットボールを摘出した。しかし残り 7 個は接着が強く
摘出できなかった。そのため、手術室において全身麻酔・気管挿管下
で上部消化管内視鏡による内視鏡的摘出術を行う方針とした。胃内に
5 個のマグネットボールが確認でき、そのうち 1 個は胃壁内に穿通し
ていた【図 3】。4 個を摘出したが胃壁内の 1 個は摘出困難と判断し、
腹腔鏡にて胃内に落下させてから内視鏡で摘出した。胃内の穿通部分
は 3 箇所クリピングで閉鎖した。残り 2 個は空腸にあり、壁へ穿通し
ていた。穿通部位を切開し、内視鏡を挿入して 2 個を摘出した。小腸
と胃は、マグネットボールを介して穿通し繋がっている状態であっ
た。手術の際、消化管内容物の腹腔内への漏れや腹水などはみられな
かった。穿通部位を切除し小腸壁を縫合閉鎖し手術を終了した。術後
2 日目より経口摂取を再開し、術後 5 日目に退院とした。3 日後に外
来で再診し、経過良好のため終診とした。
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