公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.066:類似事例:複数個の磁石の誤飲による腸閉塞、小腸瘻(No.66磁石と鉄球の誤飲による小腸穿孔の類似事例1)

タイトル複数個の磁石の誤飲による腸閉塞、小腸瘻(No.66磁石と鉄球の誤飲による小腸穿孔の類似事例1)
事例年齢:1 歳 9 か月 性別:女児 体重:10.3kg 身長:82cm
傷害の種類誤飲
原因対象物多数の小球状のネオジウム磁石からなるパズル玩具
臨床診断名異物誤飲、小腸瘻、腸閉塞
医療費1,628,830 円
発生状況
_発生場所
自宅
発生状況
_周囲の人・状況
原因となった磁性玩具は、本児が 1 歳 5 ヶ月頃にインターネット通販で本児の
ために購入した。3mm 大の 200 個以上の球状磁石からなる玩具で、立体パズルと
してさまざまな形を形成できるものであった。蓋つきの箱の中に入れてソファ
ーの下に保管していたが、購入から 1 か月ぐらい経った頃から、保護者が気付
いて児の口の中を掻き出すと、数個の磁石が出てくることが時々あった。その
ため児の手の届かない高い場所(120cm)に保管場所を変更していた。
発生状況
_発生時刻
不明
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
2018 年 1 月 17 日未明から嘔吐し始めたため近医を受診、急性胃腸炎を疑われて
制吐剤を処方された。翌 1 月 18 日にはかかりつけ医を受診し制吐剤を処方され、
経口補水療法を試みたが嘔吐が続いた。A 病院を受診し腹部単純 X 線写真を撮影
したところ、数珠状に連なるレントゲン非透過性の腸管内異物を認めた。母親
からの病歴聴取により、異物は複数個の小球状の磁石が疑われた。誤飲の時期
については不明であった。腸閉塞の診断で外科対応可能な医療施設へ紹介とな
った。
治療経過と予後腹部単純 X 線写真は前医と同様で、異物の位置は変化がなく、小腸の拡張像も
残存していた。腹部造影 CT 検査では腹腔内遊離ガスや腹水は認めなかったが、
異物に起因する金属アーチファクトのため消化管の評価は困難であった。異物
誤飲による腸閉塞と診断し、絞扼が否定できないこと、異物の自然排泄も期待
できないと判断されたことから、緊急手術を行った。術中所見は小腸の3つの
ループが絡み合って内瘻化し、同部が閉塞機転となった腸閉塞であった。それ
ぞれ腸管ループを楔状に切開して瘻孔を切除すると、瘻孔内に多数の磁石を認
めた。術中透視で取り残しの有無を検索すると、より口側の小腸に異物陰影を
認めたため、透視下に場所を特定し、小腸を切開して異物除去を行った。最終
的に 37 個の小球状磁石を除去した。術翌日の腹部単純 X 線写真では異物の残存
がなく、腸管ガスの拡張も消失していた。術後 5 日目より食事を再開し、腹部
症状が増悪しないことを確認し、術後 9 日目に自宅退院となった。
本症例は複数個の磁石が複数の腸管壁を間に挟んで接着することにより小腸ル
ープを形成し、挟まれた腸管壁部分は瘻孔化していたことから、何度かにわた
り磁石を誤飲していたことが考えられた。
家族は「磁石が 200 個以上もあるのでどこに何個あるかは数えていない。購入
時に子どもに危険などの注意書きはなかった。口の中に入れるのは危ないと漠
然と思っていたが、このような事故になるとは思っていなかった」と話された
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