公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.050:類似事例:新しいタイプの洗剤(1 回分パックタイプ洗濯用液体洗剤)の誤飲(No.50 新しいタイプの 洗剤(1 回分パックタイプ洗濯用液体洗剤)の誤飲による中毒の類似事例 11)

タイトル新しいタイプの洗剤(1 回分パックタイプ洗濯用液体洗剤)の誤飲(No.50 新しいタイプの
洗剤(1 回分パックタイプ洗濯用液体洗剤)の誤飲による中毒の類似事例 11)
事例_基本情報年齢:0 歳 7 か月 性別:男児 体重:7.9kg 身長:65.0cm
事例_家族構成両親、同胞二人(兄、姉)
事例_発達・既往歴乳製品・卵にアレルギーあり、発達・既往は問題なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
1 回分パックタイプ洗濯用液体洗剤(1パック約 23g、4×4cm、
界面活性剤 58%)
原因対象物
_入手経路 使用状況
海外製品を取り扱う大型スーパーにて自宅用に購入したものであ
り、洗面所に保管容器に入った状態で置いていた。
臨床診断名異物誤飲、誤嚥性肺炎、化学性肺炎
医療費入院 1,102,200 円 外来 0 円
発生状況
_発生場所
自宅のリビング横の脱衣所
発生状況
_周囲の人・状況
発見者は母で、対象物は保管容器の中に蓋を閉めた状態で保管し
ていた。保管容器は脱衣所の洗濯機横に扉のない収納棚の一番下
の段に置いていた。
発生状況
_発生時刻
2022 年 10 月 X 日 (日) 午後 7 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
父は入浴していた。母はキッチンで調理中だったが、午後 7:30
頃に本児が脱衣所に移動するのを目撃した。次に母が本児を目撃
した時には、対象物を 1 パックの半分程度誤飲していた。脱衣所
には洗濯洗剤の容器が倒れており、容器の蓋が空いた状態であっ
た(詳細な誤飲時間は不明)。その後緑色の嘔吐を 2 回認めたた
め医療機関に救急搬送された。
治療経過と予後病院到着時(午後 8:04)の全身状態は良好でバイタルサインも安定
していた。診察上も咽頭の分泌物貯留音以外に特記所見を認めな
かったが、1 回分パックタイプ洗濯用液体洗剤(ジェルボール型洗
剤)の誤飲であり経過観察目的に入院管理を開始した。①正確な
誤飲時間が不明であること、②気管挿管で嘔吐を誘発するリスク
があることより搬送時点での胃洗浄は行わなかった。また牛乳や
水での希釈が推奨されているが、本児は牛乳アレルギーのため牛
乳の使用はできなかった。
午後 9:30 頃(誤飲の目撃から 2 時間後)より徐々に酸素化が低下
し、SpO2 88%(室内気)となった。気道狭窄音、肺野に湿性ラ音も
認め、気道浮腫や肺炎の可能性があり、ICU 入室後に鎮静下で気
管挿管・人工呼吸管理を開始した。X+2 日目に全身の浮腫が出現
し、同日の胸部 X 線写真では全肺野の透過性低下を認めた。また
発 熱 し た た め 誤 嚥 性 肺 炎 の 可 能 性 を 考 慮 し 、 ABPC/SBT
150mg/kg/day の投与を開始した。同日昼に数秒間の全身性けいれ
んがあったが、血液検査は異常なく頭部超音波検査でも出血所見
はなかった。
以後は再けいれんなく、徐々に浮腫や呼吸状態も改善したため X+
5 日目に抜管し、X+6 日目に一般病棟に転出した。同日抗菌薬を
終了し、その後も全身状態は良好であった。X+10 日目に後遺症な
く退院した。
キーワード異物誤飲、パックタイプ洗濯用液体洗剤、化学性肺炎、人工呼吸管