公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.151 スーパーマンチャレンジによる外傷性脳損傷⃝

タイトルNo. 151 スーパーマンチャレンジによる外傷性脳損傷⃝
事例_基本情報年齢:15 歳 4 か月  性別:男児  体重:52 kg  身長:170 cm
事例_家族構成父,母,姉,弟
事例_発達・既往歴成長発達に特記事項なし.既往に橈骨遠位端骨折あり.
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
なし
原因対象物
_入手経路 使用状況
なし
臨床診断名急性硬膜外血腫,急性硬膜下血腫,外傷性くも膜下出血,脳挫傷,頭頂骨骨折
医療費入院 253,350 円 外来 22,310 円
発生状況
_発生場所
屋根のある通路
発生状況
_周囲の人・状況
同年代の友人 10 名と Social Networking Service(以下 SNS)に投稿するための動画を撮影
していた.
発生状況
_発生時刻
2024 年 12 月 X 日(月)  午後 8 時 50 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
本児は,友人 10 名と SNS に投稿するための「スーパーマンチャレンジ※」を天井 3~4 m
ほどの屋根のある通路のような場所で順番に行っていた.本児は,6 名ほどの友人(男児)
たちが両手を広げ待ち構えているところに腹臥位で飛び込み,胴上げのように天井に向かっ
て打ち上げられるような形となった.約 2 m の高さまで打ち上げられたのち,頭部からコ
ンクリートの地面に墜落した.墜落後,約 30 秒間の意識消失があり,約 15 秒の全身性間代
性けいれんを認めた.その後,意識は回復したものの,周囲の友人が本児の母に電話連絡で
状況を報告したところ,救急要請するように指示され午後 9 時 30 分に救急要請した.
本児が投稿目的で動画撮影をしたのは初めてではなかったとのことであった.
※「スーパーマンチャレンジ」は,スーパーマンに模した人が数人の仲間が手を広げている
中に飛び込み,その反動で身体を起こすことを楽しむチャレンジ行為のこと(図 1)
治療経過と予後救急隊接触時,JCS2,体温 37.3 度,脈拍 80 回/分,呼吸数 20 回/分,血圧収縮期 130 mmHg
台であった.医療機関受診時は,救急隊接触時と同程度であったが,見当識障害,前向性健
忘を認めた.右側頭部に皮下血腫があり,右側頭部から頭頂部に疼痛の訴えがあった.胸部
と骨盤部の X 線写真を撮影し,骨折所見なし.頭部 CT にて急性硬膜外血腫,急性硬膜下
血腫,外傷性くも膜下出血,脳挫傷,頭頂骨骨折を認めたため(図 2),経過観察目的に入
院した.入院後,頭痛や嘔気・嘔吐が持続しており経口摂取困難が続いたため,アセトアミ
ノフェンや NSAIDs による鎮痛と補液を行った.X+2 日には経口摂取が可能となり X+3
日には嘔気は消失,頭痛も鎮痛薬内服でコントロール可能となったため退院とした.X+8
日の外来フォロー時は明らかな後遺症はなかった.
家族より,今回のことは命の危険もある行動であり,家族内で,もう一度 SNS の投稿内容
などを指導するとの発言があった.
キーワードSNS 動画,スーパーマンチャレンジ,外傷性脳損傷