公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.148 幼児用座席乗車中の自転車転倒による頭蓋内損傷

タイトルNo. 148 幼児用座席乗車中の自転車転倒による頭蓋内損傷
事例_基本情報年齢:1 歳 3 か月  性別:男児  体重:10.3 kg
事例_家族構成父,母,本児
事例_発達・既往歴特記なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
自転車用前形幼児座席(SG 基準適合)
原因対象物
_入手経路 使用状況
自転車は 4 年前にホームセンターで購入し,主に母親が使用している非電動式自転車.自転
車用幼児座席は,1 年前にインターネットで購入し,母親が取り付けた.
臨床診断名右急性硬膜下血腫,右急性硬膜外血腫,右側頭骨線状骨折
医療費入院 3,938,560 円
発生状況
_発生場所
自宅周囲の住宅地の車道
発生状況
_周囲の人・状況
ヘルメット,および,シートベルトを着用していない本児を自転車の前形幼児座席に乗せ
て,歩道のないコンクリートの坂道を母が自転車を押して上っていた.前かごに荷物は乗せ
ていなかった.
発生状況
_発生時刻
2021 年 12 月 X 日(金)  午後 3 時 0 分ごろ
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
母親は左側から自転車を手で押しながら歩行して坂道を上っていた際にバランスを崩して
自転車が右側へ転倒した.本児は,右側頭部をコンクリートの地面に打撲した.受傷後に右
側頭部に皮下血腫が認められたので,母が救急要請した.救急搬送中は,意識は清明であっ
たが,一回嘔吐した.
治療経過と予後午後 3 時 42 分 医療機関到着時,意識清明であった.右側頭部に長径 6 cm の皮下血腫が
認められたが,全身診察では他に外傷は認められなかった.来院後,徐々に意識レベルが低
下し,午後 4 時 25 分 GCS E1V1M3 を呈し,嘔吐と徐脈も認められた.午後 5 時 1 分に右
瞳孔散大と右半身の間代性けいれんが出現し,気管挿管処置を実施した.頭部 CT 検査では
midline shift を伴う右硬膜下血腫,硬膜外血腫,右側頭骨骨折が認められ,午後 5 時 49 分
に緊急開頭血腫除去術が施行された.手術後 X+12 日まで集中治療管理を要し,X+21 日
目に退院した.退院後も明らかな麻痺等の合併症はなく,術後の運動,発達の評価を目的と
したリハビリテーションを継続している.
キーワード自転車転倒,急性硬膜下血腫,急性硬膜外血腫,頭蓋骨骨折