公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.142 腕・胸部一体型浮き輪の誤使用による溺水

タイトルNo. 142 腕・胸部一体型浮き輪の誤使用による溺水
事例_基本情報年齢:3 歳 3 か月  性別:男児  体重:16.4 kg  身長:95.0 cm
事例_家族構成父,母,姉(8 歳)
事例_発達・既往歴独歩 1 歳 2 か月,有意語 1 歳 10 か月,二語文 2 歳 6 か月
単純型熱性けいれん(1 歳)
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
腕・胸部一体型浮き輪
原因対象物
_入手経路 使用状況
2022 年,インターネットで新品購入.数回使用歴あり.商品に説明書は付いておらず,母
は以前類似の商品をインターネット上で見た際には胸でバックルを固定する商品だったた
め,装着法を前後逆に認識しており,胸部に当てるはずの浮き輪を背部に装着させていた.
臨床診断名溺水,蘇生に成功した心停止
医療費入院 472,700 円
発生状況
_発生場所
屋外レジャープール
発生状況
_周囲の人・状況
母とプールで遊泳していた.父,姉はプール外で休憩.
発生状況
_発生時刻
2023 年 8 月 X 日(月)  午後 4 時 40 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
8 月 X 日午後 4 時 40 分,プールの浅瀬で浮き輪を装着して母と遊泳していた.浮き輪(下
図)はアームリングと胸部浮き輪一体型で,浮き輪は前後逆に背部に当てられ,胸部でバッ
クルにて固定されていた.水位は浮かんだ状態では本児の胸部の高さで,底面には足がつく
程度の深さだった.
母の手の届く範囲で遊んでいたが,母が 10 秒ほど目を離した際,児が腹臥位で頭の半分が
水に浸かった状態で浮いていた.母が発見したとき,本児にけいれんなし.すぐにプール外
へ救出されたが,呼吸なく,四肢脱力し顔面蒼白だった.浮き輪自体に損傷はみられなかっ
た.
午後 4 時 43 分,救護所へ搬送され,心停止と判断され心肺蘇生を開始された.午後 4 時 44
分に心拍再開が確認された.
午後 4 時 44 分,救急要請.
午後 4 時 54 分,救急隊到着時は,発語はないが開眼していた(JCS 1 桁).酸素投与を行わ
れながら,直近のヘリ基地へ陸路搬送後,医療機関へヘリ搬送された
治療経過と予後午後 5 時 36 分,医療機関に到着時,気道,呼吸,循環に問題なし.開眼あり JCS I-3.姉か
らの声かけには発語し応答.この時初めて 38.5℃の発熱に気づいた.ハイケア病棟へ入院し
諸検査,経過観察を行った.
血液検査,心電図,ホルター心電図,脳波検査,胸部 X 線,胸腹部 CT:異常所見なし.
頭部 CT:異常所見なし,頭部 MRI/MRA:異常なし.
8 月 X 日(入院日)酸素中止.
8 月 X+1 日意識清明,会話の様子など普段と同様.解熱.
全身状態良好となり X+4 日に退院.
11 月受診時,全身状態良好で神経学的異常所見なし.
キーワード腕・胸部一体型浮き輪,誤使用,溺水