公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.131 網戸からの墜落による頭部・顔面外傷,上肢骨折

タイトルNo. 131 網戸からの墜落による頭部・顔面外傷,上肢骨折
事例_基本情報年齢:3 歳 8 か月  性別:男児  体重:14.7 kg  身長:95.9 cm
事例_家族構成父,母,妹,本児
母の実家に,母方親族(祖父母,叔父,叔母)と同居
事例_発達・既往歴特記事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
網戸
原因対象物
_入手経路 使用状況
自宅はおよそ築 15 年の戸建て住宅(2 階建て).
本児が墜落したのは,2 階ダイニングルームの壁に設けられた腰高窓.ガラス窓を左右にス
ライドすることで開閉する,一般的な引き違い窓に網戸が付属している.原因となった腰高
窓の直下に,平時よりベンチタイプの椅子が 1 脚置かれていた.以前から,本児がこの椅子
を足がかりにして登り,窓に寄りかかるように座っていることがあった(図 1).墜落の危
険を感じた祖父が,当該窓に木の板をあてがっていたというが,あくまで応急処置的なもの
で,強固に取り付けていたわけではなかった.
(網戸自体の劣化・破損の有無,当該窓や椅子の高さ・サイズ,木の板の設置状況等に関し
ては,事後情報収集ができず,これ以上の詳細は不明である.)
臨床診断名脳震盪,前額部挫創,左眼窩底骨折,右上腕骨骨幹部骨折
医療費入院 201,120 円  外来 42,140 円
発生状況
_発生場所
自宅 2 階のダイニングルーム
発生状況
_周囲の人・状況
近くにいた母親が,墜落の状況を目撃した.
発生状況
_発生時刻
2021 年 10 月 X 日(木)  午後 3 時 20 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
発生当時,換気のためガラス窓が開いていたが,網戸は閉められていた.本児が(上述の如
く)窓の桟に座り網戸に寄りかかったところ,網戸が窓枠から外れ,そのまま本児は約 5 m
下のコンクリート地面に墜落した.墜落直後,本児は啼泣していた.
母親が救急要請し,ドクターヘリで医療機関へ搬送された.
治療経過と予後病着時,本児の呼吸状態および循環動態は安定しており,啼泣していた.意識レベルは GCS
E4V4M6(14 点).右上腕に変形を認めた.各種画像検査にて上記診断となり,一般病棟に
入院した.眼球運動障害はなく,眼窩底骨折は保存的に管理した.右上腕骨骨幹部骨折につ
いてはキャスト固定を行った.
院内の虐待防止委員会で協議し,虐待の可能性はないものと判断されたが,再発防止の観点
から,保護者同意のもと地域の子育て支援課へ通告を行った.X+2 日に退院した.退院後
は,上腕骨骨折に対して 5 か月ほど通院加療を継続し,後遺症なく治癒した.
キーワード墜落,網戸,頭部外傷,骨折