公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.114 新型コロナウイルス抗原検査キット抽出液の誤飲

タイトルNo. 114 新型コロナウイルス抗原検査キット抽出液の誤飲
事例_基本情報年齢:4 歳 10 か月  性別:男児  体重:18 kg
事例_家族構成父,母,兄 2 人,本児
事例_発達・既往歴特記事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
新型コロナウイルス抗原検査キット(図)の抽出液 アジ化ナトリウム入り
原因対象物
_入手経路 使用状況
母の職場で新型コロナウイルス感染者が発生したため,母自身は職場で検査を受けた.ま
た,職場から家族の検査をするように言われ,母は新型コロナウイルス抗原検査キットのう
ち,テストデバイスと検体抽出容器(抽出液入り)と綿棒だけを 4 セット分渡された.説明
書はなく,使用方法についても説明はなかった.母は過去に 2 回ほど別の検査キットを使用
したことがあり,使い方は問題ないと考えていた.
臨床診断名異物誤飲
医療費入院 128,590 円
発生状況
_発生場所
発生状況
_周囲の人・状況
母は,午前 11 時すぎに,職場から保育園に本児を車で迎えに行った.その際,車のダッシュ
ボードの上に検査キットを置き,本児を助手席のチャイルドシートに座らせた.検査キット
は本児の手が届く範囲に置いてあった.
発生状況
_発生時刻
2022 年 2 月 X 日(月)  午前 11 時半過ぎ
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
自宅に到着し,先に母が車から降り,しばらくの間車には本児のみになった.午前 11 時 45
分頃,母が自宅で検査キットを使用しようとした際に,抽出液が 4 本ともないことに気がつ
いた.本児にきくと「中身を自分であけて飲んだ」と言った.本児は無症状であったが,母
は心配になり医療機関に電話相談をし,受診することとなった.
治療経過と予後午後 0 時 20 分頃に医療機関を受診した.受診時,症状はなくバイタルは安定していた.テ
ストプレートの包装に検査キット名が記載してあり,それを手がかりに検索をしたところ,
アジ化ナトリウムが問題であることがすぐ判明した.しかし,濃度や抽出液の量の記載がな
く実際に飲んだ量が不明であったため,家族の同意を得て,胃洗浄と,活性炭と下剤を胃内
に注入した.その後は入院しモニター装着下で経過観察を行った.入院後も特に問題なく,
翌日退院とした.
胃洗浄などの処置が終わった後に,製品会社からの情報が入った.抽出液は 0.1%以下のア
ジ化ナトリウム溶液で,量は 0.3 mL とのことであった.検体抽出容器は子どもが簡単に蓋
をあけて飲めるようなものであった.後日,母が本児に何故飲んだのかと尋ねたところ「の
どが渇いた.ふたを開けたらリンゴのにおいがしたので飲んだ」と言っていたとのことであ
る.
キーワード新型コロナウイルス抗原検査キット,アジ化ナトリウム,誤飲