公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.034:類似事例:歯ブラシによる口腔内外傷(No.34 歯ブラシによる口腔内外傷の類似事例5)

タイトル歯ブラシによる口腔内外傷(No.34 歯ブラシによる口腔内外傷の類似事例5)
事例年齢:3 歳 6 か月 性別:男児 体重:19kg 身長:100cm
傷害の種類刺傷
原因対象物歯ブラシ
臨床診断名上咽頭刺創
医療費1,263,570 円
発生状況
_発生場所
発生状況
_周囲の人・状況
発生状況
_発生時刻
2018 年 8 月 X 日(金) 午後 9 時 15 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
生来健康な児。いつも通り父に歯磨きをしてもらうため、自宅の 2 階の寝室の布
団の上に置かれた枕に座って父を待っていた。父は、本児に歯ブラシを渡した後、
階下にいた母に呼ばれたため、本児に背を向けて数秒間本児から眼を離した。直
後、本児のくぐもった泣き声に気づき父が振り返ると、本児が布団の上に側臥位
で倒れており、歯ブラシが本児の手から離れて右口角から口腔内に刺さっていた。
すぐに父が救急要請し、医療機関を受診した。
治療経過と予後受診時、歯ブラシは本児の咽頭に刺さったままの状態であった(図 1)。持続する
口腔内の出血はなく、呼吸・循環は安定しており、かろうじて単語発声は可能な
状態で意識レベル・神経学的所見ともに明らかな異常を認められなかった。造影
CT (図 2) では、歯ブラシは右扁桃から咬筋へと約 1.5cm 刺さっていた。歯ブラ
シの周囲に気腫を認めたが、内頸動静脈損傷や膿瘍形成を疑う所見は認められな
かった。手術室にて全身麻酔・気管挿管管理下で、耳鼻科医により歯ブラシが抜
去された(図 3)。歯ブラシの破損はなかった(図 4)。抜去部位からの持続性出血は
なく、深さ約 2cm の汚染創であったため、創閉鎖による感染のリスクを考慮し、
創部の入念な洗浄のみ行い、縫合は行わず開放創のままとした。術後は挿管管理
のまま集中治療室へ入院となった。抗菌薬を投与し、その後縦隔気腫への進展や
膿瘍形成は認められなかった。入院 4 日目に創部が閉鎖したことを確認し、抜管
した。3 日間の一般病床管理後、入院 7 日目に退院となった。退院後も合併症を
認められなかった。
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