公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.032:類似事例:首浮き輪による溺水(No.32 首浮き輪による溺水の類似事例3)

タイトル首浮き輪による溺水(No.32 首浮き輪による溺水の類似事例3)
事例年齢:6 か月 性別:男児 体重:7.55kg 身長:65.5 cm
傷害の種類溺水
原因対象物首浮き輪
臨床診断名低酸素性虚血性脳症の疑い
医療費2,079,330 円
発生状況
_発生場所
発生状況
_周囲の人・状況
発生状況
_発生時刻
2014 年 7 月 3 日 午後 9 時 10 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
母は、いつもお風呂は別に入っているため、母の見守りの元、児だけを入浴さ
せていた。自宅浴槽内で、首浮き輪を頸部に装着して入浴していた。湯の深さ
は、児の足がつかない深さであった。母がリビングに洗濯物をとりに、約1分
間ほど目を離して浴室に戻ると、児の首から首浮き輪が外れて、児がうつ伏せ
で浴槽の底に沈んでいた。急いで母が抱き上げると、腕がだらりとしていて呼
吸が停止しており、顔色のチアノーゼがみられた。母がすぐに胸骨圧迫を開始
し、救急車を要請した。約3分ほど胸骨圧迫したところで啼泣、自発呼吸が出
現した。覚知より 10 分後に救急隊が到着し、それから約 20 分後に、当院へ救
急搬送された。
児が 1 か月の頃より首浮き輪を使用しており、今までひやりとするような事象
は経験していない。最近では児も大きくなってきたので、首浮き輪の空気をい
っぱいにしていると圧迫感があって首が苦しいだろうと思い、首浮き輪の空気
は抜き気味にして使用していた。
首浮き輪は、ベビー用品売り場で購入した。母親は、周囲の人たちも首浮き輪
を使用しており、お風呂で使うものだと思っていた。今回、スイミング用であ
ると聞いて驚いたと話した。首浮き輪の事故の報道(2012 年 7 月)についても
知らなかった。生後 1 か月から使用できると聞いており、児もお湯につかれた
らよいと思って 1 か月健診の直後より毎日使用していた。児の足がつく深さで
使用と説明書にはあるが、児の足のつかない深さで使用していた。
治療経過と予後来院時、気道は開通していた。自発呼吸はあるものの不整で、呼吸数は 40 回/
分、SpO2 98% (酸素リザーバーマスク:8L)、聴診上、両側肺野に分泌物音が聴
取された。脈泊数は 200/分、収縮期血圧は 100 mmHg、CRT は1秒、末梢冷感や
網状チアノーゼはなかった。意識レベルは GCS:E1V4M4 と意識障害を認めたが、
瞳孔不同は認めず、対光反射に異常はなかった。体温は 35.8℃(肛門)で、明
らかな外傷痕は認めなかった。血液検査では、pH 7.223、pCO2 34.0 mmHg、HCO3
13.5 mmol/l、Lac 7.5 mg/dl、BE -13.0、Glu 161 mg/dl、WBC 20,710/µl、Plt
34.8 万/µl、AST 70 IU/l、ALT 41 IU/l、CPK 162 IU/l、BUN 6.8mg/dl、Cre 0.19mg/dl、
CRP < 0.2 mg/dl であった。胸部単純レントゲン検査では、両側肺野に透過性の
低下を認め、頭部単純 CT 検査では明らかな出血や骨折はなく、その他明らかな
異常は認めなかった。
意識障害・呼吸不全を認め、気管挿管・人工呼吸管理、低体温療法を含めた集
中治療管理を行った。入院4日目の頭部単純 CT 検査でも著変なく、入院5日目
に抜管した。意識状態、呼吸状態、循環状態は安定して経過し、入院 8 日目に
明らかな後遺症なく退院となった。
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