公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.023:類似事例:プラスチックチェーンのパーツの誤飲による食道異物、頸部膿瘍(No.23 イヤホンのパーツ の誤飲による食道異物の類似事例 7)

タイトルプラスチックチェーンのパーツの誤飲による食道異物、頸部膿瘍(No.23 イヤホンのパーツ
の誤飲による食道異物の類似事例 7)
事例_基本情報年齢:0 歳 10 か月 性別:女児 体重:8kg 身長:73.2cm
事例_家族構成父・母・兄(5 歳)・姉(2 歳)・本人の 5 人家族
事例_発達・既往歴9−10 か月健診済み 特記すべき既往歴や指摘事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
プラスチックチェーンのパーツ(星型 長径約 2 ㎝)(図 1)
パーツの一部に切れ込みがあり、連ね合わせるとチェーン状にす
ることができる。児の手に渡った時の詳しい状態は不明。
原因対象物
_入手経路 使用状況
詳しい入手経路は不明。母の記憶では「どこかでもらったもの」
で、普段の収納状況も不明。姉が好んで遊んでいた。
臨床診断名食道異物、左頸部皮下膿瘍
医療費入院 2,269,590 円
発生状況
_発生場所
自宅の居間
発生状況
_周囲の人・状況
【誤飲が発生したと推測される入院約1か月前のエピソード】
姉がプラスチックチェーンで遊んでいた。本児は姉の近くで別
にひとり遊びをしていたが、プラスチックチェーンに興味を示し、
手に取る様子もあった。2人の様子を、父と祖母が見守っていた。
発生状況
_発生時刻
2020 年 8 月 X 日 に入院(正確な発生日時は不明)
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
入院約 1 か月前の上記エピソードの際、本児が何かを口に含ん
でいるような様子に気づいた父がとっさに口腔内を確認したが、
異常はなかった。即刻、#8000(子ども医療電話相談事業)に問
い合わせたが、児が元気であれば問題ないと言われた。しかしそ
の後数日間、児の食欲がなく嚥下を嫌がる様子があったため、近
医小児科 A を受診した。異物誤飲を疑われたが、胸部 X 線で明
らかな異常は指摘されなかった。帰宅後の本児は普段通りの調子
に戻った様子であった。
X−2 日より左頸部腫瘤と発熱を認めた。X−1 日に近医皮膚科 B
を受診し抗菌薬を処方されたが、改善しないため、X 日に再度近
医小児科 A を受診した。頸部腫脹の状況から外科的処置の必要性
も考慮され、同日医療機関 C(大学病院小児科)へ紹介された。
治療経過と予後医療機関 C 受診時、児は 38.0℃の発熱を認めたものの、意識清
明で、流涎や努力呼吸、呼吸窮迫所見はなかった。左側頸部に発
赤・熱感・波動を伴う長径 5 ㎝の腫瘤を認め(図 2)、頸部皮下膿
瘍と診断した。同日より入院管理とし、穿刺排膿を実施し抗菌薬静
注を開始した。児の食欲や嚥下の様子に問題はみられなかったた
め、入院後は離乳食を摂取していた。X+2 日、穿刺排膿した膿汁
から MRSA が検出された。X+5 日、離開した創部に肉芽形成を
認めた(図 3)。X+9 日、難治性の皮下膿瘍に対して頸部超音波検
査を行ったところ、縮小した膿瘍下に点線状に連なる高エコー像
を認めた(図 4)。
改めて詳細に病歴を聴取し直したところ、約1か月前のエピソ
ード(上述)が発覚した。X 線透過性異物の誤飲を疑って頸部造影
CT 検査を行い、頸部食道に星型の異物を認めた(図 5)。
X+13 日、全身麻酔下に食道直達鏡検査を施行し、頸部食道に
異物を確認した。異物の一部は食道壁に嵌入し、周囲に肉芽が形成
されていた。先端がフック状のデバイスで異物を摘出した。術後は
抜管せず、集中治療室で X+16 日まで呼吸管理を行った。X+20
日に食道造影で食道壁に瘻孔がないことを確認して経口摂取を再
開し、X+28 日に退院となった。退院後は小児外科外来で経過観
察を続けている。
キーワードこども用浮輪、溺水、誤嚥性肺炎、浴槽