公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.019:類似事例:子守帯(スリング)内で発生した窒息による心肺停止 (No.19 子守帯(スリング)内で発生した心肺停止の類似事例 2)

タイトル子守帯(スリング)内で発生した窒息による心肺停止
(No.19 子守帯(スリング)内で発生した心肺停止の類似事例 2)
事例年齢:0 歳 1 か月 性別:女児 体重:4.0kg 身長:52 ㎝
傷害の種類窒息
原因対象物スリング(2 歳兄に使用していたもので、初めての使用ではない)
臨床診断名心肺停止
医療費250,000 円
発生状況
_発生場所
自家用車内
発生状況
_周囲の人・状況
母親が児をスリングで抱いたままシートベルトをして運転、夫が助手席
に座っていた。
発生状況
_発生時刻
2019 年 3 月X日(日) 午前 0 時頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
周産期歴・既往歴に特記事項のない生後 33 日の女児(在胎 39 週 2 日、
出生体重 3,098g)。当日午前 0 時頃まで両親とともに飲食店にいた。午
前 0 時 05 分に授乳した(おそらく最終無事確認)。帰宅の際、母親は児
をスリングで抱いた状態でシートベルトを着用し運転席に座り、両手で
ハンドルを握って運転した。0 時 30 分頃自宅に着き、児をベッドに寝か
せようとしたところ鼻出血があり、反応がないことに気づいて 0 時 39
分に救急要請した。
治療経過と予後救急隊接触時(0 時 48 分)、母が台所で胸骨圧迫を施行しており、心肺
停止状態(波形:心静止)であった。ミルクなどの吐物はみられなかっ
た。1 時 04 分に医療機関に到着。到着時、無脈性電気活動(pulseless
electrical activity, PEA)であった。気管挿管および骨髄路を確保しアド
レナリン 0.05mg を計 3 回投与したところで 1 時 24 分自己心拍再開し
た。心肺停止期間は最大で 90 分程度と考えられた。自己心拍再開後も
瞳孔散大固定しており自発呼吸をみとめなかった。また、血液検査にお
いて高度の代謝性アシドーシスを認めた(pH6.631, pCO2 101mmHg,
HCO3- 10.0mmol/L, BE –31.4mmol/L)。全身 CT では特に異常所見は
みられず、ウイルス抗原迅速検査(インフルエンザウイルス、RS ウイ
ルスなど)は陰性であった。ICU 入室後は代謝性アシドーシスについて
は補正により緩徐に改善をみとめたが自発呼吸の再開や神経所見の改
善をみとめなかった。入室当日夕方から血圧低下、18 時半すぎに死亡さ
れた。状況や各種検査所見より心停止に至るような内因性疾患は否定的
であり、窒息による心肺停止と判断、警察へ検視を依頼した。後日児童
相談所の介入や Child Death Review が行われており、明らかな事件性
はないと考えられている。
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