公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.013:類似事例:リチウム電池の誤飲による食道粘膜損傷 (No.13 リチウム電池の誤飲による食道粘膜損傷の類似事例2)

タイトルリチウム電池の誤飲による食道粘膜損傷
(No.13 リチウム電池の誤飲による食道粘膜損傷の類似事例2)
事例年齢:2 歳 5 か月 性別:男児 体重:11.5kg 身長:83.5cm
傷害の種類誤飲
原因対象物リチウム電池
臨床診断名食道粘膜損傷
医療費入院費 1,381,110 円 外来費 1,110 円 計 1,382,220 円
発生状況
_発生場所
発生状況
_周囲の人・状況
発生状況
_発生時刻
2017 年 4 月 10 日 午後 9 時頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
児は発達歴などで異常を指摘されたことはない。午後 9 時頃、自宅居間で児が
仰向けになって苦しそうにしていたところを母親が発見した。児は何かを飲み
込もうとするような動きをしており、先程まで床に落ちていたはずのリチウム
電池が見当たらなかったため、誤飲の可能性を考え午後 9 時 50 分に医療機関を
受診した。児は時折吐き気を催す様子があり、軽度の乾性咳嗽を認めた。
治療経過と予後受診時、バイタルサインは安定していた。胸部単純 X 線写真で上部食道に halo
sign を伴う直径 2cm 大の円形異物を確認(図 1)し、リチウム電池誤飲と判断
した。直ちに麻酔科医および消化器内科医を招集し、翌日午前 1 時より全身麻
酔下での緊急内視鏡的異物除去が試みられた。しかし、周辺粘膜の腐食・浮腫・
出血などにより内視鏡では観察困難であった。 耳鼻咽喉科医に応援を要請し、
午前 4 時 37 分に耳鼻科医により直視下で鉗子によりリチウム電池が摘出され
た。
喉頭粘膜浮腫を生じていたため、抜管は行わず集中治療室で人工呼吸管理を継
続した。ファモチジン投与、抗菌薬投与を開始した。入院 2 日目に胸部 CT 検
査を行い、明らかな縦隔気腫や縦隔炎の所見がないことを確認した。入院 3 日
目午前に、上部消化管内視鏡検査を行い、食道に全周性のびらん形成を認めた
(図 2)。潰瘍形成や穿孔は認められなかった。喉頭浮腫は改善していたため、
同日午後に抜管した。同日夕に飲水を試行し疼痛なく飲み込めたため、アルギ
ン酸ナトリウム内用液内服を開始した。入院4日目午後から離乳食を開始し、以
後、食事形態を徐々に上げた。入院 7 日目に抗菌薬の投与を中止し、入院 9 日
目に退院とした。
自宅ではファモチジンとアルギン酸ナトリウム内服を継続しながら、食事形態
を刻み食より徐々に上げるよう指示し、1 週間後の外来受診時には普通食の摂取
が可能となっていたためフォローを終了した。
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