公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.004,018:類似事例:浴槽でこども用浮輪を使用中に発生した溺水(No.4 浴槽用浮き輪による溺水、No.18 解 決したはずの浴槽用浮き輪による溺水の類似事例 6)

タイトル浴槽でこども用浮輪を使用中に発生した溺水(No.4 浴槽用浮き輪による溺水、No.18 解
決したはずの浴槽用浮き輪による溺水の類似事例 6)
事例_基本情報年齢:0 歳 9 か月 性別:男児 体重:9kg 身長:68.7cm
事例_家族構成父、母、兄(1 歳)
事例_発達・既往歴特記事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
胴体に装着するこども用浮輪 (No.4・No.18 類似事例 4. 図 1-a,b
と同種の製品)
原因対象物
_入手経路 使用状況
2021 年 6 月に祖父母から兄が貰ったもの。
母がひとりで 2 人のこどもを入浴させる時に使用していた。使用
頻度は、週に 3 回程度。
臨床診断名溺水、誤嚥性肺炎
医療費入院 1,619,210 円 外来 2,970 円
発生状況
_発生場所
自宅の浴室
発生状況
_周囲の人・状況
母が兄と本児を一緒に入浴させていた。
発生状況
_発生時刻
2023 年 1 月 X 日 (金) 午後 5 時 0 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
発生当日午後 5 時頃、本児はこども用浮輪を装着して浴槽内にい
た。母と兄が先に脱衣所に移動して着替えをした。母が本児から
目を離してから 2~3 分後、着替えを終えて浴室の扉をあけたと
ころ、浮輪は本児の身体から完全に外れており、50cm 程度お湯
が張られた浴槽内で本児が仰向けで沈んでいるのを発見した。浮
輪は使用していた向きとは上下逆になって浴槽に浮かんでおり、
空気は抜けておらず、ベルトも外れていなかった。母が直ちに本
児を浴槽から引き揚げたが、本児は全身チアノーゼを呈し、反応
なく、呼吸をしていない状態であったので、胸骨圧迫を開始して
救急要請した。
救急隊が到着するまでに、本児の体動と自発呼吸が出現して、チ
アノーゼも改善した。1 回嘔吐をしたが、その後は自発的に開眼
した。救急隊接触時、意識レベル Japan Coma Scale (JCS) Ⅱ.
刺激に応じて一時的に覚醒する状態、呼吸 40 回 / 分、脈拍 160
回 / 分、SpO2 90% (室内気)、血圧 100/56 mmHg、体温 36.8℃
であった。酸素吸入(10 L / 分)により SpO2は 93%に上昇した。
治療経過と予後午後 5 時 51 分、自宅近くの A 救命救急センターへ救急搬送され
た。病院到着時の意識レベルは、Glasgow Coma Scale (GCS) で
4-3-5 であった。救急外来滞在中に痙攣が群発し、ジアゼパム、
フェノバルビタールなど抗けいれん薬静注後、意識障害が継続し
たために B 医療機関に収容依頼した。
B 医療機関の迎え搬送チームが A 救命救急センターに到着した時
点では、FIO2 0.5、酸素 10 L /分、加湿高流量経鼻カヌラ療法
(HFNC) 管理下で、呼吸数 77 / 分、SpO2 100%、心拍数 163 /
分、GCS 1-1-5 と意識障害を認めていた。搬送中の車内で HFNC
の条件を酸素 18 L / 分に調整したところ、呼吸回数は 60 回/ 分
へ減少したが、陥没呼吸は残存していた。B 医療機関の救急外来
到着後に、気管挿管され PICU 収容された(図 1、2)。入院
後、中枢神経管理、誤嚥性肺炎治療のための抗菌薬投与(アンピ
シリン・スルバクタム、X+6 日まで)を行った。脳波検査の所見
では発作波は認められず、意識レベルも改善し X+4 日に抜管さ
れた。抜管後は、意識清明で呼吸状態も安定しており X+11 日に
退院となった。外来通院時も後遺症は認められなかった。
キーワードこども用浮輪、溺水、誤嚥性肺炎、浴槽