公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.139 食品用ラップフィルムの用途外使用による窒息

タイトルNo. 139 食品用ラップフィルムの用途外使用による窒息
事例_基本情報年齢:0 歳 3 か月  性別:男児  体重:7.0 kg  身長:60 cm
事例_家族構成父,母,兄(3 歳)
事例_発達・既往歴特記事項なし
傷害の種類
原因対象物
_対象名称
食品用ラップフィルム
原因対象物
_入手経路 使用状況
市販の食品用ラップフィルム.母は薬剤の効果が高まると考えて,本児の頭部にある脂漏性
湿疹にステロイド外用薬を塗布し,食品用ラップフィルムを頭部全体(毛髪のある部分全
体)に貼り付けて被覆していた.被覆は日常的に行っており,特に医師の指導は受けてはい
なかった.
臨床診断名窒息,来院時心肺停止
医療費入院 897,270 円
発生状況
_発生場所
自宅の居間
発生状況
_周囲の人・状況
母と兄が自宅で入浴中
発生状況
_発生時刻
2023 年 3 月 X 日(金)  午後 5 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
授乳後,本児の頭部全体に食品用ラップフィルムを貼り,居間の床に寝かせていた.午後
5:30 頃(本児の最終健在を確認)に母と兄は入浴した.入浴の途中までは浴室へ泣き声が
聞こえていた.午後 5:45 頃に母が居間に戻ると,本児の顔面は食品用ラップフィルムで覆
われ,顔色不良で呼吸停止していた.母が人工呼吸と胸骨圧迫を開始し,救急要請した.
治療経過と予後午後 6:01 救急隊到着時の初期波形は心静止であった.午後 6:14 病院到着時も心静止
で,瞳孔 5 mm/5 mm 対光反射は両側消失していた.気管挿管,アドレナリン 2 回静注後
の午後 6:23 に自己心拍は再開した.入院時に撮影した頭部 CT では脳浮腫は認めず,胸部
CT は著明に透過性が低下していた.集中治療室に入室し,人工呼吸管理,脳平温療法を開
始した.循環作動薬を使用せず循環は保たれて経過し,X+1 日の朝,瞳孔 3 mm/3 mm で
対光反射は両側で確認されていたが,その後呼吸状態が悪化し,両側の気胸を発症している
ことが判明した.胸腔持続ドレナージ後も酸素化を保てず,血圧は低下し,同日に死亡を確
認した.
キーワード食品用ラップフィルム,ビニール袋,包装用フィルム,窒息