公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.087 魚骨による下咽頭異物

タイトルNo. 87 魚骨による下咽頭異物
事例年齢:9 歳  性別:女児  体重:24.9 kg
傷害の種類下咽頭異物
原因対象物魚骨(タラ)
臨床診断名下咽頭異物
医療費103,960 円
発生状況
_発生場所
学校の教室
発生状況
_周囲の人・状況
友人と一緒に給食を食べていた
発生状況
_発生時刻
2018 年 9 月 X 日(水)  午後 0 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
上記時刻,給食でタラの切り身(5×5 cm 程度)をピタパンで挟んで食べていた.食事中に
甲状軟骨上縁のレベルに違和感を自覚し,その後ポテトやお茶を摂取したが改善しなかっ
た.うがいを数十回したが症状は変わらなかった.保健室に行き,教員が咽頭を観察した
が,肉眼で魚骨は認められなかった.午後の授業を受けた後に帰宅し,母とともに近医耳鼻
咽喉科を受診した.喉頭ファイバースコピーで舌根部左側に異物を認めた(図 1)が,除去
できなかった.同日 3 次医療機関へ紹介受診した.
治療経過と予後同日午後 4 時 30 分,受診時には嚥下時に咽頭痛を認めた.Stridor や流涎はなく,嗄声は認
められなかった.呼吸困難の訴えもなかった.耳鼻咽喉科医師が対応し,同日に喉頭ファイ
バースコピーによる再検査は実施せず,症状の改善なければ翌日再診していただく方針とし
て一旦帰宅とした.
翌日,嚥下時の咽頭痛が続いていたため,同医療機関の耳鼻咽喉科外来を再診した.喉頭
ファイバースコピーで舌根部左側に魚骨を認めた.ファイバー鉗子での摘出を試みられた
が,1cm の魚骨が摘出されたのみで 5 mm 程度舌根部に突き出した残存魚骨を認めた(図
2).除去を試みたが途中で折れたと考えられた.耳鼻咽喉科と救命救急科が協力し,救急室
で静脈鎮静・挿管管理下に咽頭異物除去を行う方針となった.本人と保護者に方針を説明
し,鎮静の同意を得た上で静脈鎮静,気管挿管を実施し,耳鼻科医により直視下にマギール
鉗子を用いて異物を除去した.その後,喉頭ファイバースコピーで残存した異物がないこと
を確認した(図 3).予定通り抜管し,抜管後の経過観察を目的に入院した.入院後は数時
間の経過で徐々に覚醒し,歩行や飲水ができることを確認した上で,同日退院となった.以
降は再診なく経過している.
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