公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.085 キャスター付きキャリーバッグからの転落による頭部外傷

タイトルNo. 85 キャスター付きキャリーバッグからの転落による頭部外傷
事例年齢:3 歳 5 か月  性別:女児  体重:18 kg  身長:110 cm
傷害の種類転落
原因対象物キャスター付きのキャリーバッグ(高さ約 60 cm)
臨床診断名急性硬膜外血腫 右側頭骨骨折
医療費291,523 円
発生状況
_発生場所
空港のターミナル内
発生状況
_周囲の人・状況
両親が付き添っていた.
発生状況
_発生時刻
2019 年 4 月 X 日(金)  午後 8 時 15 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
訪日外国人観光客で,受傷当日に空港に到着した.空港内でキャリーバッグの上に座ってい
たところ,後方へ転落して頭部を床面に打撲して受傷した.受傷から 45 分経過して嘔吐し
始め様子を見ていたが,受傷から約 3.5 時間経過した頃になって心配になったため,受傷現
場から数キロメートル離れた駅にて救急要請した.
治療経過と予後病院到着時のバイタルサインは体温 36.9℃,呼吸数 24/分,脈拍 96/分,経皮的動脈血酸素
飽和度 98%(室内気),血圧 86/40 mmHg と明らかな異常は認めなかった.入眠していた
が,覚醒させると意識清明であり,指示動作も入り,四肢の運動障害は認められなかった.
身体診察では右側頭部に打撲痕を認めた以外に,明らかな外傷所見を認めなかった.
ER 到着時に児は入眠していたことからそのまま頭部単純 CT を撮影した.頭部単純 CT で
は右側頭骨骨折と右急性硬膜外血腫の所見を認めた(図 1,2).血液データでは明らかな異
常所見を認めなかった.
上記の経過と所見から,PICU へ収容して保存的に経過観察する方針とした.入院後はけい
れんや意識障害の出現はなく,入院翌日には一般病棟へ移動し,食事も通常どおり摂取可能
だった.X+5 日に退院となった.幸い当初の旅程どおりの帰国便に搭乗することができた.
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