公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.082 一般用医薬品(外用薬)に含まれているカンフル(樟脳)による中毒

タイトルNo. 82 一般用医薬品(外用薬)に含まれているカンフル(樟脳)による中毒
事例年齢:0 歳 11 か月  性別:女児  体重:8.3 kg  身長:不明
傷害の種類薬物誤飲
原因対象物カンフル(樟脳)を含有する鼻づまり改善薬(チューブに入ったクリーム,内容量 50 g 中
dL- カンフル 2.5 g(5%)を含有)
臨床診断名樟脳による急性薬物中毒
医療費240,880 円
発生状況
_発生場所
寝室
発生状況
_周囲の人・状況
寝室で父,母,本児の順番に横並びに敷布団で寝ていた.
発生状況
_発生時刻
2016 年 11 月 X 日(金)  午前 6 時 30 分
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
傷害発生前日,本児の鼻づまりに対して市販の鼻づまり改善薬を本児の胸に少量塗布した
後,チューブを母の枕元に置いたまま,母は就寝した.チューブの蓋は閉めていた.
傷害発生当日の午前 6 時頃,直母で授乳させた後,本児を寝かしつけて母は就寝した.午前
6 時 30 分頃,本児が嘔吐している音が聞こえ,母が目覚めた.横に寝ていたはずの本児は,
四つん這いで嘔吐していた.枕元のチューブの蓋が開いており,吐物は粘度のある白色で
あった.嘔吐を複数回繰り返したため,午前 7 時 4 分に母が救急要請し,医療施設に搬送さ
れた.救急隊接触時(午前 7 時 13 分),本児のバイタルサインは心拍数 150 回/分,呼吸数
36 回/分,収縮期血圧 100 mmHg,SpO2 100%(室内気),体温 36.1℃,JCS0 であった.
本製品は「胸,のど,背中に塗ることで,体温で温められて蒸気となった天然生薬成分が,
鼻づまり,くしゃみ等の症状を緩和する」ものとして,チューブに入ったクリーム製剤とし
て販売されている.傷害発生前のクリーム残量の詳細は不明だが,ほぼ未使用で前日に少量
使用したのみであり,残量は約 50 g であったと考えられる.傷害発症後のクリーム残量は
34 g であり,最大量で 16 g のクリーム(dL- カンフルとして 0.8 g)を誤飲したと考えられ
る状況であった.
治療経過と予後午前 7 時 38 分,病院到着時の本児バイタルサインは心拍数 119 回/分,呼吸数 30 回/分,
SpO2 100%(室内気),体温 36.9℃,やや興奮状態で吃逆を頻回に認めていた.来院後,嘔
吐や意識レベル低下,けいれんなどは認めず,気道・呼吸・循環は保たれていた.カンフル
を 0.5 g 以上誤飲した可能性があり,絶飲食管理と呼吸・消化器症状・意識レベルの観察を
目的に入院となった.
入院後,徐々に興奮状態は改善し,吃逆も消失,明らかな消化器症状や呼吸抑制,けいれん
などは認めず経過した.
入院 2 日目に午前 7 時に覚醒し,ふらつきはなく,経口摂取や排尿排便に問題はなかった.
入院 3 日目に母に対して事故防止支援サイト(https://www.niph.go.jp/soshiki/shogai/
jikoboshi/)の指導用パンフレットを用いて事故予防指導を行った.新たな症状は出現せず,
入院 4 日目に無症状であったため退院とし,終診・有事再診とした.
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