公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.081 人工呼吸器の経鼻カニューラによる縊頸

タイトルNo. 81 人工呼吸器の経鼻カニューラによる縊頸
事例年齢:0 歳 11 か月  性別:男児  体重:8.9 kg  身長:77.7 cm
傷害の種類縊頸
原因対象物人工呼吸器の経鼻カニューラ
臨床診断名縊頸
医療費322,480 円(入院費+関係外来通院費)
発生状況
_発生場所
自宅の寝室(発生前後の部屋の見取り図:図 1,図 2)
発生状況
_周囲の人・状況
母が自宅の寝室の床に敷いた布団に本児を寝かしつけた(図 1)後,母は約 15 分間別室に
いた.本児は普段通り経鼻カニューラを装着していた(図 3).約 80 cm の高さの台の上に
あったはずの人工呼吸器は,発見時には台から落下し大きく移動していた(図 2).
発生状況
_発生時刻
2018 年 2 月 X 日(土)  午後 8 時頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
咽頭軟化症にて 2017 年 7 月(月齢 4 か月)より在宅人工呼吸器で CPAP(持続陽圧呼吸療
法)を開始した.成長に伴いマスクの装着を嫌がるようになったため,装着による違和感を
軽減するために 2018 年 1 月(月齢 11 か月)より同人工呼吸器にて経鼻カニューラを用いた
Nasal High Flow(NHF)を開始していた.事故当時,本児は寝返りや掴まり立ちが可能で
あった.上記日付の午後 7 時 45 分頃に,普段と同様に NHF を開始(経鼻カニューラは鼻の
両サイドにサージカルテープで固定され,頭で円を描くようにして後頭隆起付近で留められ
ていた(図 3―a,b)).寝室の床に敷いた布団に寝かしつけられ,母親は別室に移動した.
人工呼吸器は,約 80 cm の高さの台の上にあった(図 1).母親が 15 分後に部屋に戻ると,
児は本来寝ていた場所から約 2 m 移動し(図 2),その頸部に 2 周ほど酸素カニューラが巻
き付いていた(図 4).人工呼吸器は児に引っ張られて倒れた台から布団の上に落下し約 1.5
m 移動していた(図 2).本児は床に転落しうつぶせの状態で意識がなく,チアノーゼを認
めた.母から見て,呼吸が停止しているようであったとのことであった.母が本児の背部を
トントンと叩くと軽度開眼したがその後もぐったりしていたため医療機関を受診した.
治療経過と予後医療機関受診時の意識は清明で,バイタルサインは脈拍 123 回/分,SpO2 100%(室内気)で
あった.頸部と顔面に点状出血を認めていたが,全身状態良好で呼吸状態は安定していたた
め,帰宅した.翌日,母からみて点状出血が悪化し,陥没呼吸およびいびきがいつもより悪
化していると感じ同医療機関を再受診したが,バイタルサイン,身体所見および血液検査・
胸部 X 線検査に異常はなく経過観察となった.X+2 日に小児科外来を受診.吸気時喘鳴お
よび陥没呼吸の軽度増悪をご両親が気にされていることと,嗄声・軽度の嚥下障害を認めて
いたため同日経過観察目的に入院となった.入院後,モニター観察を実施したが呼吸状態は
問題なく経過したため入院翌日に退院した.
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