公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.029 遊具からの転落による大腿骨骨折

タイトルNo. 29 遊具からの転落による大腿骨骨折
事例年齢:3 歳 6 か月 性別:女 体重:13.1kg 身長:95cm
傷害の種類大腿骨骨折
原因対象物公園に設置された船の形状をした複合型遊具
臨床診断名右大腿骨骨幹部骨折,顎部切創(5 針縫合)
医療費2,203,370 円(食事療養費負担や室料(差額ベッド代)などを足した合計は,2,773,740 円)
発生状況
_発生場所
公園の遊具
発生状況
_周囲の人・状況
公園に設置された図 1 に示すような船の形をした複合型遊具で,3 歳 6 か月の女児が父親
と一緒に遊んでいたところ,丸太とチェーンからなる吊り橋(図 2)の隙間から転落し,
垂直方向に地面まで落下し,大腿骨骨折,顎部切創,右前歯脱臼に至った.
発生状況
_発生時刻
西暦 2008 年 7 月 12 日 午後 3 時 40 分頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
図 3 に示すように,丸太製の吊り橋の写真の右端から 1 本目と 2 本目の間から転落した.
丸太の隙間は変化するようになっており,通常時 75mm,最大時 250mm であった.船の
デッキ部分には穴が開いており,女児が落下した際に,その穴を通過し,図 4 に示すように,
デッキの下(船中)にある地面まで直接落下した.落下時の姿勢は,ほぼ垂直に立った
状態だった.衝突した地面の材質は土であった.
治療経過と予後2008 年 7 月 12 日,受傷したあと,レントゲン検査にて大腿骨骨折を確認した(図 5).ま
た,全身 CT を施行し,頭部や内臓の損傷のスクリーニングを行ったが,損傷は確認され
なかった.骨折の治療は直達牽引とギプス固定で行われた.大腿骨の遠位部に細い針金状
の金属を経皮的に貫通させ,ベッド上で滑車等を利用し,重りで引っ張り固定した.8 月
5 日にギプスで固定し,8 月 17 日にギプスを取り外した.この段階では荷重は禁止で,8
月 31 日に退院した.入院治療は 51 日間に及び,9 月 11 日に全荷重の許可がおりた.
その後,約 3 年が経過した 2011 年 8 月 23 日に検査をしたところ,骨折側が健側に比して
成長が早くなり,長くなってしまう過成長と呼ばれる現象が確認された.レントゲンでの
検査では,骨折側の大腿骨が 1.2cm 長くなっていた.
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