公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.027 遊具による縊頸

タイトルNo. 27 遊具による縊頸
事例年齢:3 歳 11 か月 性別:女児 体重:14kg 身長:97cm
傷害の種類縊頸
原因対象物幼稚園の園庭にある遊具(昭和 44年1~3 月頃に設置された,のぼり棒つきすべり台.オ
リジナルの製品であり製品番号などはない.その製作所は既に閉所している)
臨床診断名縊頸
医療費入院費用 147,430 円
発生状況
_発生場所
幼稚園の園庭
発生状況
_周囲の人・状況
幼稚園の園庭で,他の多数の園児と一緒に遊んでいた.
事故当時,遊具の周りに保育士はいたが,普段通りの遊び方をしていたため特に注意を払っ
ていなかった
発生状況
_発生時刻
2011 年 10 月 12 日 午前 9 時 20 分頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
写真 1 にある遊具の上部鉄板の上(写真 2)から柵の間をくぐり抜け,本来登るために設置
されていた遊具後方の棒(写真 3)を伝って地面に降りる遊びが常態化していた.中には,
柵の上を乗り越え,のぼり棒から降りる園児もいたとの報告がある.受傷当日もいつものよ
うに,この棒を伝って地面に降りる患児の姿が目撃されている.発生時刻頃,保育士がふと
遊具に眼をやったところ,のぼり棒上部の一部水平となった部分(写真 4)に前頸部を支点
としてぶら下がっている患児を発見した.すぐに大声で助けを呼んで患児を降ろしたが,降
ろした時点では意識はなかった.呼吸は保たれており,まもなく意識は回復した.すぐに救
急要請したものの近隣に収容可能な施設がなく,受傷後 1 時間以上が経過してから当院へ搬
送となった.
なお遊具の上部天板は地面から約 2.2 メートルの高さ,上部鉄板にある柵の高さは 70 セン
チメートル,柵の間隔は約 17 センチメートル,またのぼり棒上部の水平部分は約 12.5 セン
チメートルであった.現場にいた保育士の話では,柵の間をすり抜けた際に誤って転落し,
前頸部がのぼり棒上部の水平部分に引っかかったのではないかとのことであった.
治療経過と予後搬入時,気道,呼吸,循環は保たれており,意識レベルも問題なかった.神経学的にも明ら
かな異常は認められなかったが,前頸部に出血斑が認められた(写真 5).
意識レベルの低下が,今回の傷害の原因なのか,あるいは結果であったのかを判別しかねた
ため,頭部 CT や心電図などの検査を施行した.いずれも明らかな異常は認められなかった.
受傷当日は経過観察を目的にハイケアユニットに入室した.翌日には状態が安定していたた
め帰宅となった.
受傷後 5 日後に再診したが,明らかな問題は認められなかった.
キーワード